マクラーレン570Sクーペが先行公開
公開 : 2015.03.31 22:30 更新 : 2021.03.05 18:51
マクラーレンのスポーツ・シリーズの第1段となる570Sが、4月1日に開催されるニューヨーク・モーターショーに先駆けて公開された。
570Sはポルシェ911ターボSやアウディR8 V10プラスのライバルにあたるモデルで、マクラーレンは ’史上最高のユーザビリティ’ を強調している。
イングランドはウォキングをベースにするマクラーレンは、570Sを ”マクラーレンのDNAをスポーツカー・セグメントに反映した初のモデルである” と紹介。
スーパーカーである650SやハイパーカーのP1で得た知識を余すことなく投入しているとのことだ。価格帯は£140,000(2,489万円)台となる予定である。
570Sが市場に投入されれば、アルティメット・シリーズ/スーパー・シリーズ、そして570Sのスポーツ・シリーズの3本柱が完成することにもなる。
年間の予定生産台数は4,000台。これほどの台数が制作されることもマクラーレンとしては初のことであり、企業としての利益成長にも貢献する見込みだ。
マクラーレンは570Sのことを表現するにあたり ’エントリー・レベル’ という言葉をしばしば用いるが、出力はポルシェやアウディのハイエンド・モデルに並ぶ。
3.8ℓ V8ツインターボをミドに搭載するのは、兄貴分にあたる、さらにパワフルな650Sと同じ文法。動力は7速デュアル・クラッチATを介して後輪に伝えられる。
ベースは同じであるが570S用にチューンし直された同ユニットの最高出力は570ps、最大トルクは61.2kg-m。M838T Eユニットの ’E’ はエボリューションを意味する。
0-100km/hタイムは3.2秒、0-200km/hは9.5秒でこなし、最高速度は328km/hに及ぶ。
£137,500(2,443万円)のアウディR8 V10プラスの5.2ℓエンジンは609psと57.1kg-mを発揮し、0-100km/hタイムは570Sと同等であるが、0-200km/hタイムは570Sよりも0.4秒遅い。最高速度は340km/hだ。
ポルシェ911ターボSは£142,120(2,525万円)から。3.8ℓのツインターボ・フラット6は560psと71.3kg-mを発揮し、0-100km/hは3.1秒、200km/hまでは10.3秒、最高速度は312km/hをマークする。
570Sのキー・フィーチャーとして、軽量である点が挙げられる。乾燥重量は1313kgということから、R8 V10プラスよりも150kg軽く、出力重量比は434ps/トンとトップ・クラスの数値を達成する。
これほどの軽さを実現したのは、カーボンファイバー製モノセルIIと呼ばれるもので、650Sが用いるものの改良版だ。570Sのストラクチャーは650Sより80kg軽く、サイド・シルが肉薄になるため乗り降りもしやすい。
650Sが使用するインターリンク・サスペンションは、より一般的なダブル・ウィッシュボーン式となり、可変ダンパーとアンチ・ロールバーと組み合わされる。ハンドリングとパワートレインのセッティングは650Sと同じくノーマル/スポーツ/トラックの間で切り替え可能だ。
燃料消費率は9.0km/ℓ、CO2排出量は258g/km程度になるのだそう。ちなみにR8 V10プラスは8.5km/ℓ、911ターボSは10.3km/ℓである。
ボディ・サイズは650Sよりもわずかに大きく、全長は4530mm、全幅は2095mm、全高は1202mmとなる。
アルミニウム製ボディワークのおかげで、より凝ったパネル・デザインが可能になったのだそうだ。またフロント・マスクやリア・ライトなどはマクラーレン・ファミリー共通のデザイン言語を用いていることが写真からも分かる。
リア・ウイングは固定式であり、ドア周辺のデザインはP1と共通のもの。的確にエンジンを冷却する設計になっている。
650Sは長いリア・ガラスをもつエンジン・カバーを使用していたが、570Sの場合はCピラー部に ’空洞’ を設けた、フライング・バットレス・デザインを採用。気流を考えた設計である。
さらに過激な兄弟モデルにくらべると日常域のユーザビリティとドライバビリティも意識しているとマクラーレンは主張する。
小物入れの追加やレザーの使用を始めとするキャビンの快適性や、144ℓに及ぶクラスきっての荷室容量などがその代表だ。
センター・コンソールに設えられたインフォテインメント・スクリーンは衛星ナビゲーションやブルートゥース接続、DABラジオを含む機能を備える。標準のスピーカーは4点となるが、さらにうえのグレードに更新も可能だ。
カーボン・セラミック・ブレーキは標準となり、570S専用の鍛造アロイ・ホイールはフロントが19インチ、リアが20インチとなりタイヤはピレリPゼロ・コルサを組み合わせる。
ジュネーブ・モーターショーでデビューした675LT同様 ’Byマクラーレン’ を介したさまざまなインテリア・オプションやカスタマイズが可能。アルカンターラやレザー、カーボンファイバーのアップグレードも多様に用意されている。
570Sの販売はニューヨーク・モーターショーでパブリック・デビューしたのちになる予定。スポーツ・シリーズの2代目はアジアのマーケットを重要視したものになる見込みで、こちらは今月の末に姿を現す予定だ。