text & photo:Daisuke Ebisu (戎 大介)
3月29日に東京都あきる野市の東京サマーランドを起点に開催されたFMRトレーニングラリー。「トレーニング」の名のとおり、9月12〜14日に富士山を周回する約500kmのルートで開催されるヒストリックカーによる公道イベント「富士マウンテンラリー2015」の練習会としての性格を持ったワンデイ・イベントである。
同ラリーは1979年までに生産された国内外のヒストリックカーによるレギュラリティラン・スタイルの競技で、スピードよりもいかにルートブックの指定タイムどおりに正確に走るかで競われるラリーである。特にルート途中に設置されるPC(パス・コントロール)ポイントでは、20〜50m前後の短い距離を6秒や8秒といった指定時間で走行するコースが設けられている。PC区間には精密な計測機器が設置され、1000分の1秒レベルで競われる、参加クルーのテクニックの見せ場でもある。
ヒストリックカー・ラリーというと敷居が高く、ビギナーが参加しにくいイメージがあるが、このトレーニングラリーではエンスージァストに広く門戸を開くため、主催者が任意に選んだエキスパート3台とビギナー1台からなる混成チームが作られ、新人の育成と参加者同士の親交を深める工夫がなされている。また、参加車両のメイクスやモデル、年代も散らばるようなスタート順番となされた。これはかつて国内ラリーの全盛期を知るイベント運営陣による、「ラリーの楽しさを伝えたい」という想いによるものでもある。
今回のトレーニングラリーでは、特にPCポイントでの“線踏み”技術の向上に主眼が置かれており、ラリーのスタート前に広大な東京サマーランド駐車場に設けられた練習コースにて1時間の線踏み練習が行われた。コ・ドライバーは身を乗り出しながら時間を読み上げ、ドライバーはコ・ドラの指示通りにクルマをコントロールする、この競技独特の風景が繰り広げられた。その後に練習会場の隣で開催されていた東京オールドカー倶楽部主催の旧車イベント会場に場を移し、セレモニアル・スタートを行った。多くのヒストリックカー・ファンの声援の中、39台の参加車両の競技がスタートした。
東京サマーランドを出た一行は檜原村やすらぎの里、秋川国際マス釣場でスタンプを受け再び東京サマーランドに戻りPCポイントを通過、昼食をはさんで午後からは明星大学のCPポイントを経て青梅市日向和田のへそまんじゅう本舗、澤乃井櫛かんざし美術館へ。美術館を見物した後に東京サマーランドへと戻ってくるルートを辿った。
本ラリーの舞台となったあきる野市は平成27年9月1日に市制20周年をむかえる。今回のラリーはその協賛イベントとなっており、参加車両のゼッケンにもその記念ロゴが入っている。そのような縁もあり、イベントの通過ルートには地元住人の皆さんが通過するヒストリックカーに旗を振り、声援をおくる姿が見られた。参加クルーたちもその声援に応え手を振る様子に、このイベントが地域住人、参加クルーの双方に単なる練習会以上の価値をもたらしたのではないか、筆者にはそう思えたのだった。
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イベント当日、会場の東京サマーランドは穏やかな小春日和に恵まれた。
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本ラリーには戦前から70年代まで、約40台ものヒストリックカーが参加した。
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開会式では大会会長の平野喜正さんが挨拶。その後ブリーフィングが行われた。
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広大な駐車場でグループに分かれての線踏み練習。緊張は本番さながらだ。
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今回の練習会には年代、国を問わず多彩なヒストリックカーが参加した。
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ヒストリックカー・イベントではお馴染みの堺正章氏もマセラティ200siで参加。
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スタート会場にはあきる野市イメージキャラ『森っこサンちゃん』も駆けつけた。
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沿道のギャラリーの声援に応える参加車。先頭で手を上げているのは片山右京氏。
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イベントフラッグを掲げての応援。かわいいワンちゃんにクルーも笑顔で応える。
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#1 1935年 MG-N 小宮/小宮組
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#2 1969年 ホンダS800M 大内/大内組
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#3 1977年 アルピーヌA110SX 麻沼/小峰組
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#4 1969年 モーガン4/4 高岡/関口組
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#5 1955年 ジャガーXK140OTS 久富/久富組
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#6 1965年 トライアンフTR4A 嶋田/稲川組
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#7 1960年 ポルシェ356ロードスター 宮下/矢口組
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#8 1973年 トヨタ・スプリンター・トレノ 長谷川/長谷川組
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#9 1956年 アルファ・ロメオ・ジュリエッタ・スプリント・ヴェローチェ 佐藤/佐藤組
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#10 1964年 ホンダS500 須田/須田組
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#11 1964年 オースチン・ヒーレー100 BN1 東/土田組
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#12 1967年 フィアット850スパイダー 河合/鈴木組
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#13 1934年 MG-PA 矢部/矢部組
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#14 1970年 モーガン4/4コンペティションモデル 荒井/剣持組
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#15 1954年 オースチン・ヒーレー100-4 BN1 栗谷/栗谷組
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#16 1957年 マセラティ200si 堺/田中組
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#17 1955年 トライアンフTR2 福原/二見組
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#19 1948年 フィアット・スタンゲリーニ1100 スポルト 谷井/谷井組
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#20 1958年 ポルシェ356A 村松/小嶋組
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#21 1955年 オースチン・ヒーレー100-4 BN2 岡野/岡野組
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#22 1958年 ポルシェ356カブリオレ 兼子/兼子組
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#23 1964年 フォルクスワーゲン・カルマンギア・カブリオレ 大森/粟谷組
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#24 1956年 アルファ・ロメオ・ジュリエッタ・スパイダー 折原/折原組
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#25 1959年 レンハムGTO 横田/大木組
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#26 1969年 マツダ・コスモ・スポーツ 疋野/田端組
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#27 1979年 モーガン・プラス8 陳/李組
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#28 1959年 ポルシェ356コンバーチブルD 桑原/笠松組
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#29 1954年 フィアット1100TV 山口/土屋組
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#30 1961年 ポルシェ356B 井出/井出組
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#31 1970年 ロータス・エラン・スプリント 向山/向山組
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#32 1953年 モレッティ・スポルト 片山/金子組
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#33 1937年 ドライエ135C 鈴木/加藤組
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#34 1960年 MG-A 若林/岡野組
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#35 1954年 トライアンフTR2 斉藤/斉藤組
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#36 1956年 オースチン・ヒーレー100/4 佐藤/佐藤組
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#37 1935年 フィアット508Sバリッラ・スポルト 出川/鈴木組
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#38 1959年 トライアンフTR3A 松田/松田組
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#39 1947年 バンディーニ1100 スポルト 中/中組
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#40 1972年 ディーノ246GT 波田野/波田野組