キア・ヴェンガ1.4 CRDi SR7
公開 : 2015.04.02 23:40 更新 : 2021.03.05 21:36
グローブ・ボックスのサイズも十分に大きく、内側に滑り止めのドットがついているため、中で忙しなく小物が動きまわることもない。
小さく、古風なインフォテインメント・ディスプレイは車格から考えると仕方ないのかもしれないが、使いやすさは加点ポイント。誰もがすぐに慣れるはずだ。
90psを発揮する1.4ℓディーゼル・エンジンは、0-100km/hタイム=14.0秒をマーク。これも車格からすれば悪くない。
もちろん弾丸のごとき速さは諦めるべきだし、追い越しには予め心の準備が必要であるが、市街地メイン時々モータウェイといった使い方ならば何ら問題はない。
しかしながら洗練性はヴェンガの強みではない。
アイドリング時はガラガラとエンジン音が響くし、レッド・ゾーン近くでは耳をつんざくようなノイズが生じる。しかたなくシフト・チェンジを強いられるのだ。
ただ幸運なことに、ギアは6段用意されているし、その動作マナーも精緻感に富んでいる。うえまで引っ張らずに変速すれば、あくまで平穏なクルマなのだ。
乗り心地とハンドリング・バランスは車格相応。全般的なフィールは ’安心/安全’ といったところ。うねりの上では時に落ち着かないものの、破綻することはない。
市街地におけるステアリングは軽やかな類。反面、高速道路の強い横風にはやや弱く、窓周辺からノイズは生じやすい方だと感じた。
■「買い」か?
次々に姿かたちを変える近年のクルマに比べるとヴェンガの変更点は極々控えめである。だからといって長所がないわけではなく、実用性、運転のしやすさ、装備品の充実ぶりはかなりの強みである。
必要にして十分という言葉を体感するには、このクルマを買うのが手っ取り早い。強いて注文をつけるならばディーゼル・エンジンの洗練度合いくらいだろうか。現時点ではガソリンを推す。
このクラスのクルマを選ぶ際、勝敗を分けるのは ’超’ 現実的な理由となることは常。したがって読者諸兄が最後に選ぶのは、ホンダ・ジャズや日産ノートになることは筆者だって分かっている。
ただ機会があればヴェンガにも乗っていただきたい。きっと世界観がちょっぴり変わるはずだ。今回のテストではヴェンガの潜在能力の高さを改めて感じた。このクルマが名を馳せるのは時間の問題だ。
(ジョン・ハウエル)
キア・ヴェンガ1.4 CRDi SR7
価格 | £14,895(264万円) |
最高速度 | 167km/h |
0-100km/h加速 | 14.0秒 |
燃費 | 22.2km/ℓ |
CO2排出量 | 119g/km |
乾燥重量 | 1345kg |
エンジン | 直列4気筒1396ccターボ・ディーゼル |
最高出力 | 90ps/4000rpm |
最大トルク | 22.4kg-m/1750-2750rpm |
ギアボックス | 6速マニュアル |
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