アメリアアイランド・コンクール・デレガンス
2015.03.05〜08
第20回アメリアアイランド・コンクール・デレガンスが3月8日に、リッツカールトン・ホテルに隣接するアメリアアイランド・ゴルフクラブの10番、18番ホールで開催された。記念すべき20回目の開催に向けて、コンクール委員会のチェアマンで発起人でもあるビル・ワーナーは、来場者の目を楽しませる300台以上の素晴らしいクルマとオートバイを揃えた。そこにはユニークなモデルや門外不出の美しいコレクションが並び、毎年のことになるが、バラエティに富んだ質の高い展示車両を目にすると、選考委員の努力に対して賛辞の言葉を惜しまずにいられない。
2015年の特別ゲストはサー・スターリング・モス卿。スージー夫人とともに出席した彼は、思い返せば1996年に第1回アメリアアイランド・コンクールが開催されたときのゲストその人である。あれ以来、このショーがどれだけの飛躍を遂げたことだろうか。これまでも高い評価を得てきたこのイベントは、英オクタン誌により2013年ベスト・モータリング・イベントにも選ばれている。また、その評判が高まるにつれ世界中の主要メーカーや、アルファ・ロメオ、BMW、ベントレー、ビュイック、フェラーリ、インフィニティ、ジャガー、ランボルギーニ、マセラティ、ポルシェといったブランドからも支持を得るようになった。
長年このショーをサポートしてきたメルセデス・ベンツも含め、こうしたメーカーは車両の展示や試乗会などを開催。今年はメーカーによるプロモーションも脚光を浴び、アルファ・ロメオは4Cスパイダーを、ランボルギーニはアヴェンタドール・ピレリ・スペシャルエディションを展示し、ジュネーブ・モーターショーで発表されたばかりのモデルとあって注目を集めていた。
ショーの成功とともにコンクールの展示スペースを確保しつつ、人気のトレードショー・エリアを拡大してきたが、今年はアメリアアイランド・ゴルフクラブの1番ホール、リッツカールトンに繋がるドライブウェイの向かい側にも展示スペースが設けられた。ここは「モーター・エキスポ」と名付けられた自由にエントリーできるスペースで、ほかにもブールバール・モーターカンパニーなどのクラシックカー・トレーダーによる展示も行われた。
4日間に渡るコンクール期間中は、リッツカールトンやその周辺でセミナー、サイレント・オークション、メーカーによる試乗会、アート・ギャラリー、ロードツアー、デュポン・レジストリ誌によるパーティ(土曜朝にメイン会場で行われた誰でも参加できる)が開催され来場者を楽しませる。
くわえて、土曜にはRMサザビーズによる公式オークションがリッツカールトンのホールで開催されたほか、金曜にはオムニ・アメリアアイランド・プランテーションでグッディング&カンパニーのオークションも開かれた。また、木曜にはボナムスがオークションイベントを近隣で、さらにはハリウッド・ホイールズが土曜に同じくオムニ・アメリアアイランド・プランテーションでオークションを催している。
コンクールのクラス分けは、その年のテーマや記念トピックにより毎年変更されるが、今年は38のクラスに分類され、そのなかには20回記念の一環としてスターリング・モスがドライブしたマシンのカテゴリーもあった。グッドウッドのGTレース期間中にプラクティス走行に使ったフェラーリ250GTOは、彼がキャリアの幕を閉じることになった1962年大会のもの。1952年のセブリング12時間レースで優勝したオスカMT4、それにアストン・マーティン、マセラティ、メルセデス・ベンツといった素晴らしいモデル20台が展示されたのだ。
また、「フェラーリF1クラス」では、鮮やかな空色の375F1/インディがレストレーション後のデビューを飾った。レストレーション中にマシン・ヒストリーが判明したこのモデルは、晴れてフェラーリF1としてコンクールに登場することができた。
「カウボーイズ」という一風変わったクラスではドア・ハンドルが拳銃だったり、ライフル、1ドル硬貨、動物の角など映画の主人公やミュージシャンの愛車にありそうな信じられないギミックを満載したモデルが並んだ。ほかにも「忘れじのファイバーグラス・クラス」では、ファイバーグラス・スペシャルが全盛だった’50年代終盤から’60年代初頭に製造された物珍しいスタイリングのモデルが展示された。また、「見捨てられたコンセプトカー」には、デザイナーの自己顕示や観衆の注目を集めるためだけに作られ、本質的な存在意義を与えられなかったクルマが並んだ。このほか「東海岸と西海岸の出会い」というクラスでは、両地域の地理的文化的背景の違いを表現したホットロッドが登場。ただし、クラス賞を東と西に分けて表彰していたのは興味深かい事実であった。
「ワールド・ラリーカー」では選抜された9台のモデルを展示。フルヴィアHF、ストラトス、037ラリー、デルタHFインテグラーレといった魅力的なランチアがカルテットを組んだ。後者2台はその象徴ともいえるワークスのマルティニ・カラーであった。
「アグリーダックリン(みにくいアヒルの子)」ではポルシェの914シリーズがストリート、レース、ラリー仕様とカラフルに展示されていた。また、「シュトゥッツ・マーク」ではBMW328のクラス表彰を見ることができた。
会期の最後には、ベスト・オブ・ショー・コンクール・ド・スポーツが表彰され、エレガントな1932年式アルファ・ロメオ8C2300ザガート・スパイダー(ビバリーヒルズのデビッド・シドリック所有)がその栄誉を授かった。また、ベスト・オブ・ショー・コンクール・デレガンスには、1930年式コードL29ブルック・スティーブンス・スピードスター(イリノイ州オークブルックのエド&ジュディ・シェーンターラー・コレクション所蔵)が輝いた。