トヨタ・オーリス 120T

公開 : 2015.04.08 23:50  更新 : 2022.12.12 21:30

  • テコ入れ策として、セダンをつくったら、と筆者は申し上げた。担当者は欧州では6:4の割合で売れているワゴンの投入を示唆した。

  • 今回の試乗は限られた場所で、10分間という短さだった。これだけをもって全体を評価するのははばかれる。

■どんな感じ?

120Tで袖ヶ浦フォレストレースウェイを10分間、全開走行した。シャアの愛機は、濡れた路面でも安心感があった。ステアリングは正確で、FF特有の安定感があった。ロールは穏やかで、足回りはサーキット走行に耐えるしなやかさを持っている。

1.2ℓ直噴ターボとCVTのコンビは高回転まで回してもイヤな振動やノイズとは無縁で、最上級グレードにふさわしいトルクと静粛性、スムーズネスを終始提供する。スポーティヴネスを強調したエンジンではない。むしろ淡々と、やや控えめなトルクを紡ぎ出す。ターボラグはほぼ気にならない。

ただし、インフィールドに入るところと出るところに設けられた2カ所のヘアピンの立ち上がりでは、どちらも緩やかな上り勾配がついていることもあって、”待ち” の感覚が必要になる。1500〜4000rpm という広い範囲で最大トルクを発生するわけだけれど、1500以下に回転を落としてしまうと、まるでスローモーションの世界に入る。ステアリングホイールと一緒に回ってしまうパドルを探し出して2速まで落としてやると、トルクがモリモリ出てくる。横Gが出続ける長いカーブも安定した姿勢を保つ。

「いいクルマになってきていると思うんです。パワステのチューニングで、ステアリングのフィーリングを改善した。具体的には切り始めからしっかりクルマが動くセッティングにした。”コンフィデント&ナチュラル” をキイワードに、いかに具体化していくか、ということをやってます」
リアのダブル・ウィッシュボーンをうまく生かす車両チューニングを施し、EPSのソフト変更を、微妙なライン取りと高速走行の両立させつつ行った、ということを担当者は語った。

記事に関わった人々

  • 今尾直樹

    Naoki Imao

    1960年岐阜県生まれ。幼少時、ウチにあったダイハツ・ミゼットのキャビンの真ん中、エンジンの上に跨って乗るのが好きだった。通った小学校の校長室には織田信長の肖像画が飾ってあった。信長はカッコいいと思った。小学5年生の秋の社会見学でトヨタの工場に行って、トヨタ車がいっぱい載っている下敷きをもらってうれしかった。工場のなかはガッチャンガッチャン、騒音と金属の匂いに満ちていて、自動車絶望工場だとは思わなかったけれど、たいへんだなぁ、とは思った。

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