BMW i3 第1回
公開 : 2015.04.10 21:50 更新 : 2017.05.22 13:54
パナメーラS E-ハイブリッドに続き、今回はEVであるBMW i3を2週間に亘り、試乗することになった。昨年、発売が開始されたBMW i3は、全く新しいコンセプトによりゼロからBMWが開発したEVである。その徹底振りは凄まじく、走行時のゼロ・エミッションは当然として、カーボンで一体整形されたシャシーから、内装材のマテリアルまで、如何に環境にやさしく生産するか、また、如何にリサイクルを可能とするかを、トコトンまで追求して生まれたのがこのクルマなのである。
今回試乗をすることになったのは、レンジエクステンダー仕様のi3で、ボディサイズは全長4010mm、全高1550mm、全幅1770mmである。しかし、非常に特徴的なデザインのためか、全体の印象はこの実数値よりも大きく見える。ボディの四隅に19インチと大径のホイールが位置し、しかもタイヤサイズは155/70R19と現代の基準では随分と細いので、ボディとのバランス感が変わってしまうのかもしれない。170ps/5200rpm、25.5kgm/100-4800rpmの出力を発生するモーターはリアに位置し、リアホイールを駆動する。このレンジエクステンダー仕様では、更に発電用の647ccDOHC2気筒のガソリンエンジンを搭載しており、9ℓの燃料タンクが用意されていて、約100km走行分の電力を発電できる。だから基本的には外部からの充電をしなくても、ハイオクガソリンさえ給油しておけば走行は可能ということになる。とはいえ、毎回、9ℓを給油するのはナンセンスで、EVの基本どおり、夜間などに自宅でしっかり充電をする、というのが望ましい。外出時の急速充電はCHAdeMO(チャデモ)に対応しており、右後部のリッドから充電し、約1時間で完了。普通充電は、BMWの専用充電機器を自宅に設置するか、あるいは200Vのアース付きコンセントに対応していて、この場合は満充電まで約8時間だ。
外板は、金属を殆ど使用せずに作られ、同様に内装もシンプルそのもの。ダッシュボードも、アイパッド程度のサイズの画面が2面存在するのみで、その下のユーカリを使用したウッドパネルが印象的である。4枚あるドアは、リアが後ろヒンジ、すなわち観音開きとなっており、乗り降りはスムーズにできる。車両重量は、リチウムイオン電池を含めても1390kgと軽く、これが瞬発力の良さに好影響を与えている。
実は、この試乗の開始時は、私の自宅に200Vの電源は来ているのだが、アースつきのコンセントの工事が完了となっていなかった。その一方、週の半分を過ごす甲府の常磐ホテルには、充電スポットが設置されているので問題はなく、都内で過ごすときのみ、充電ジプシーでのスタートとなった。
3月26日
昨日は、東京駅近くのBMWジャパンから家まで帰宅し、そのまま、充電はせずに駐車。今朝は六本木ヒルズに立ち寄って会社に出社した。まだ、家には200Vのアース付きのコンセントが装着されていないので、暫くの間、都内で使う場合にはどこかで急速充電をするしかない。家の工事は4月上旬ということなので、それまではかなり不安だ。しかも、六本木ヒルズで充電をしようと思っていたら、何と、テスラ専用だという。しかも、他には充電スポットは無い、とのことで2度ビックリ。今時、驚く話だ。結局、会社の近くの東京日産駒沢店のCHAdeMOで初めての急速充電を行った。この時はまだ、80km程度しか走っていなかったので、30分で終了し97%まで充電ができた。費用は消費税込みで540円である。
この日は丸1日走って、かなりi3のフィーリングにも慣れてきた。とにかく、スタート時のアクセルの一踏みの加速が凄い。グンと車体が前に押し出され、トルクの分厚さが体感できる。発表時の屋久島での試乗の際、サスペンションはかなりの硬さだと感じたが、当時よりも、ややソフトになっているようで、都内で走っているかぎりにおいては若干固い程度で違和感はない。アクセルオフした時の回生ブレーキの効きが強く、ブレーキを踏んだ時とほぼ同様の減速をするから、ブレーキペダルに足を載せる頻度は非常に少なくなる。だがこの一連の動きに慣れてしまえば、実に安楽な乗り物だ。エアコンも特にセーブせず、FMも聞きながら、いつもと同様に走ってこの日は帰宅。むろん、家では充電はせず。
3月27日
某車の取材で、横浜ベイサイドマリーナホテルに向かう。取材の終了後、横浜三溪園の駐車場で細部の撮影をする。改めて観察すると、観音開きのドアなどの構造はよく考えられていて、面白い。この日も、都内に戻り、東京日産駒沢店で充電する。今回は100km以上走り、途中でエンジンを止めた際に、充電保持状態にするのを何回か忘れたため、EVとしての走行可能距離は25kmまで落ちていた。ここまで走ると、エンジンでの発電量も多いので、フューエルメーターも約半分に減っている。今回は40分ほどで97%まで復帰した。最後の10分はおまけで、今回も540円であった。ガソリンはハイオクを給油し、4.47ℓ、648円であった。ここまでのトータルで走った距離は204km。かかった費用は1728円である。