ルノー・メガーヌR.S.275トロフィー-R
公開 : 2015.04.17 23:50 更新 : 2021.03.05 21:35
■特徴
”リア・ワイパーのアッセンブリーまで取り除くことにより80kgもの軽量化に成功した” ― ニック・カケット(ロードテスター)
クリオ・ウィリアムズにクリオV6、クリオ・トロフィー……。ルノーの生み出す伝説的なホットハッチは、いつだって(いい意味で)馬鹿げていた。
2008年にデビューしたメガーヌR26.Rが、中でもメガーヌRS 275トロフィー-Rの先祖にあたる。450台が生産され、半分以上が英国に輸入された。
台数こそはR26.Rの方が多いものの、現行メガーヌの方が馴染み深く感じられるのは、265や275トロフィー、そしてトロフィー-Rのすべてが共通の2.0ℓターボ・ユニットを搭載しているからだろう。
ちなみに ’275’ というモデル名は、最高出力である275psが由来している。
基準車からのパワー増強分はECUのリマッピングによるところが大きい。ドライブ・モードはスポーツとレースの2種を用意している。
アクラポビッチ製のチタニウム・エグゾースト・システムはトロフィーと共有。カップ・シャシーを組み合わせることにより、さらに締めあげられたスプリングや大径のスタビライザーが標準となる。
車高も基準車から下げられており、GKN製の機械式リミテッド・スリップ・ディファレンシャルを供していることを最重要事項として報告しておこう。
カップ・シャシーにはダンパーのアップグレードも含まれているが、275トロフィー-Rにはオーリンズ製のオイル・ショックアブソーバーが組み合わされる。
ルノーはこれをプログレッシブ・ダンピング・システムと呼び、アジャスタブル・ダンパーとしての機能は価格に見合ったものではあるが、自分にとってベストなセッティングを見出すには相応の時間を要するのも事実だ。
ちなみにノルドシュライフェでベスト・ラップをマークした時のセッティングはフロント:20クリック、リア:30クリックだったという。(0が最もハード)
今回借りだした車両は、例外的に一般道におけるセットアップを考慮してフロント:5、リア:10クリックとなっていた。ダンパーを調整するには、リフト・アップしたうえでホイールを外す必要がある。
車高はフロントが8mm下げられるが、これはノルドシュライフェを本気で攻めるときに調整する程度でいいだろう。
テスト・ドライバーいわく、一般的なドライ・サーキットならば前後ダンパーを4と9に設定するくらいがちょうどいいのだそうだ。
スプリングはアルバール社製のコンポジット式とすることによって4kgの軽量化を実現。さらに防音材を取り除くことにより18kg、リア・シートも同様に排除して20kg軽量になっている。
リア・シートがあった部分には、極太のタワーバーが組み込まれており、あとは(かなり大きいが)スペア・タイヤの収容スペースとして使用できる。
さらにエアコン、ステレオ、マルチメディア・システム、リア・ワイパー・ユニット、自動ヘッドライトを全て取り除いたという凝りよう。10kg減となる。
また、19インチのスピードライン製トゥリーニを履くことにより5kgの減量を果たした。タイヤはミシュランのハイエンド、パイロット・スポーツ・カップ2となる。
これまでが ’ノーマルの’ 減量メニュー。サーキットのラップ・タイムを突き詰めていきたい向きのためにニュルブルクリンク・レコード・パックというものが用意される。
価格は£1,995(36万円)で、軽量リチウム・イオン・バッテリーや6点式ハーネス、350mm径のフロント・ブレーキ、スペアのホイール用カバーが付いてくる。テスト車両には装着済みであった。