ルノー・メガーヌR.S.275トロフィー-R
公開 : 2015.04.17 23:50 更新 : 2021.03.05 21:35
■経済性とランニング・コスト
”トロフィー-Rを少量生産に留めた点は、バリューを保つための手堅い戦略だといえる。” ― マット・ソーンダース(ロードテスト編集補佐)
ルノーが英国にR26.Rを輸入した時、値引きをし過ぎるという大きな過ちを犯した。今でこそ中古車相場は回復しているが、仮にもっと賢明な判断をしていれば、R26.Rの立ち位置も今とは少し違ったかもしれない。
200台もR26.Rの右ハンドル仕様を作ってしまった点も、明確な過ちのひとつだ。しかしさすがはルノー。きちんと学ぶ会社である。テスト対象のトロフィー-Rは、わずか30台のみに限定している。
燃料消費率は、テスト期間の平均が9.27km/ℓ、高速道路では10.6km/ℓを記録。この手のクルマとしては、かなり優秀な数値といえるだろう。
しかしさすがに、エアコンとステレオがないというのは現実的に辛い。筆者が購入するとしたら、迷わずに装着するだろう。
”いやいや、私はサーキットでのタイムを短縮するために買うんです” という向きにはニュルブルクリンク・パックの選択を薦める。間違いなく価値のあるオプションである。
価値があるといえば、大径のブレーキ・ディスクも見逃してはおけない。ただし6点式のハーネスは日常的な使用ではちとキツイ。
しかしながら軽量のバッテリーは、価格上昇を正当化する大事なオプションである。
■「買い」か?
”前輪駆動の日常でも使えるサーキット・カーが欲しいならば、トロフィー-R一択である。” ― マット・プライヤー(ロードテストエディター)
Good:極めてシャープなハンドリング、徹底した軽量化、ゆるぎない加速力
Bad:膨れあがった車両価格、省略した装備の再装着が有料、輸入台数の少なさ
今回のテストを通じて次第に明らかになったのは、トロフィー-Rには揺るぎない存在意義と、真のエキサイトメントが共存しているという点だ。
もともと£18,000(319万円)のファミリー・ハッチに、ロータス・エキシージSやポルシェ911 GT3に匹敵するグリップ力やコントロール性能、ストッピング・パワーやスリルを与えたルノーのエンジニアに対し、われわれは脱帽するほかない。
スピードの面においては、スーパーカーに並ぶことはできないが、安定感や扱いやすさ、シャープなレスポンス、ドライ路面のうえのホールド性はほとんど同じレベルにあるといってもいいだろう。
5つ星換算でいくと、4.5点。この手のクルマを買う人にとっては関係のない話かもしれないが、完璧なホットハッチならば、もっと使い勝手と乗り心地が良く、そして手に入れやすい価格であるべきだと考えたことが、満点を逃した理由である。
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