フォルクスワーゲン・クラブUp! 1.0 75
公開 : 2015.04.13 23:40 更新 : 2017.05.29 18:57
ドアを開けてみると、キラキラと輝くシル部分のプレートや黒色のルーフ・ライニング、専用カーペット、タータン柄のシートが目を引く。ハイUp!にメタリック・ペイントとアロイ・ホイールを組み合わせようと思えば£880(16万5千円)の追加費用が必要となることを考えれば、£610(10万7千円)は安いといっていい。
われわれがテストに供したのは ’ブルーベリー’ 色の5ドア・モデル。駐車場に停め、降りたのちに振り返ってみると、とてもスマートに見えた。
暗めのトーンのガラスと、ホイール・アーチいっぱいに広がるアロイ・ホイールのおかげで、ノーマルよりもさらに引き締まったクルマに感じるうえ、他よりもはっきりと目立っているのだ。
レトロ・マーケティングに固執するメーカーもUp!を見習うといいだろう。ボディと同じ色に塗装したダッシュボードやタータン柄のシート、キュートなデカールも決して子供だましではない。
たしかにクラシック・ビートルやゴルフ1などの旧き佳き思い出を寄せ集めすぎている感じもしなくはないが、これまでどこかあっさりとしていたアップに、一種の愛らしさを付加していることは間違いない。
市街地を駆け巡るぶんには乗り心地にも問題はなく、フィエスタ・レベルとまではいかないが、十分に楽しいステアリングは基準車と変わりない。これならば、どこに行くにも苦労はないだろう。
すべてのクラブUp!は75psの3気筒ガソリン・エンジンを組み合わせるため、110km/h前後の高速走行もなんのその。5速マニュアル・ギアボックスのもたらす軽さと正確性も手伝い、身軽に目的地までたどり着ける。
市街地の走行を目的にしたクルマゆえ、荷室は膨大とはいえないものの、スーパーで買ったあれこれを搭載するには必要にして十分なサイズ。4人でどこかに出かける場合にもゆとりをもって座ることができる。
ただしそんなUp!にも、改善を望まずにはいられない明確な欠点がある。筆者の場合、ステアリング・ホイールが大径のスピード・メーターを遮ってしまうのだ。テスト期間中、大事な50-145km/hの速度域は、勘で走るしかなかった。