フィアット500X 1.4マルチエア
公開 : 2015.04.15 23:40 更新 : 2017.05.29 18:51
高回転域まで引っ張ってみると、耳障りではない程度に聞き心地の良いサウンドが聞こえてくる。ガソリン・エンジンならではの、たおやかな回転フィールを体感できるのはやはり気持ちがいいもの。それに0-100km/hタイム=9.8秒となかなかの俊足でもある点も魅力的だ。
6速マニュアル・ギアボックスの操作感も歯切れが良く、シフト・ノブが短いおかげで小気味よく変速できる。ただし、ダイレクトではあるがやや軽すぎるうえに伝えてくれる情報量が希薄なステアリングは改善して欲しいと感じた。
コーナリング時のグリップ力はたっぷりと確保されており、背の高いクルマであるにも関わらずボディ・ロールも最小限に抑えられている。時にタイヤがギャッと鳴くこともあるがポイントを押さえておけば、スリリングとまではいかないが、安心して攻めることができる。
今回のテストでは17インチと18インチのホイールを試した。ロケ地が粗い路面で有名なバッキンガムシャーだったため17インチでもハーシュネスを感じることがあったものの、やはり快適性を優先するならば17インチを薦める。
キャビンの質感は、フィアットの苦手とする部分ではあったが500Xの場合は例外のようだ。見た目は、いつものラテン車のそれである一方、用いるマテリアルはドイツ流。したがって表面部分の手触りを含め、ファミリーカーの枠を超えた居心地の良さを感じた。
フロント・シートの足元ならびに頭上スペースに不足はなく、リア・シートのサイズも子ども3人が楽に乗れることから、この手のサイズのクルマとしては決して狭苦しく感じないだろう。
シートのすわり心地も実によく、ドライビング・ポジションにも違和感はない。前後左右の視界の広さをきちんと確保している点も、デイリー・ユースを主とするクルマとしては嬉しい。350ℓの荷室容量やその形状、折りたたみのしやすい後部座席にも好感がもてる。