BMW 740i プロトタイプ

公開 : 2015.04.18 23:55  更新 : 2017.05.23 10:26

この740iLは、BMWにとって新しい設計のなされた3.0ℓ6気筒ユニットを搭載する最初のモデルともなる。内部コードB58と呼ばれる新しい3.0ℓユニットは、最近発表されたこれより小さい3気筒と4気筒エンジンと同じアーキテクチャーを持つもので、ブロック、シリンダー・ヘッド、オイル・サンプはアルミニウム製となる。ツイン・スクロール・ターボを備え、バルブトロニック可変バルブ・コントロールと、可変カム・タイミング・コントロールなど、低回転でのレスポンスと中速域での扱いやすさを向上しつつパワーそのものも上げるという仕組みが組み込まれている。現時点でそのパワーは明らかにされていないが、当然ながら現行モデルに搭載されるN55型ユニットの320ps、44.5kg-mを上回っていることは容易に想像がつく。現行モデルと同様に、ドライバーはエコ・プロ、コンフォート、スポーツ、スポーツ・プラスという4つのドライビング・モードを選択することが可能だ。

最新のフューエル・セーブ技術が盛り込まれたBMW製8速オートマチック・ギアボックスには、アイドリング・ストップとブレーキ回生システム、そしてアイドリングやスロットルが一定に保たれた場合の惰性走行ファンクションなどを備える。標準的な7シリーズはRWDが基本だが、BMWの新任の開発責任者であるクラウス・フローリッヒによれば、今後4WDモデルを展開していく可能性は大いにあるという。

インストルメント・パネルは、オプションのデジタル・ディスプレイが組み込まれていたようだが、今回はそのインストルメントの多くは布で隠されたままだった。調整幅の広いアジャスタブル・シートとステアリング・ホイールをもってすれば、快適なドライビング・ポジションを採ることは訳もないことだ。シート自体は、柔らかいがしっかしとしたサポートを持つものである。

インストルメントまわりは先述のように、キルトに覆われてほんの一部しか見ることはできなかったが、それでも少しだけ覗くデジタル・ディスプレイは、昨年の5シリーズに採用されたのと同じデザイン手法が用いられていることがわかった。それは、選択したドライビング・モードによって、ホワイト、ブルー、レッドに照明が変化するというものだ。また、採用されているiDriveは第5世代のもので、スマートフォンにも似た動作でタッチ・スクリーンで様々なインフォテーメントをコントロールできるものだ。その操作はタッチ・スクリーンおよびコンソールに取り付けられた回転式ダイヤルでこなすことができるだけでなく、ジェスチャー・コントロールも可能というのもウリのひとつ。高価なオプションとなる予定だが、手の動きを捉えた3Dセンサーが、オーディオ・システムや電話への応答などをはじめとするさまざまコントロールをするというものだ。また、2本指の動きで、タッチ、ポイント、回転、ワイプといったコマンドを与えることもできる。

新しいエンジンは、非常に滑らかで優雅な印象だ。そして改良されたギアボックスは素早く滑らかにシフトする。BMWは公式な数値は一切発表してくれないが、それでも0-100km/h加速が5.7秒という現行モデルよりも明らかに俊足であることはわかる。これには、その軽量化が大いに役立っているものと思われる。

しやなかさと、静粛性も魅力だ。その全体の仕上がりは素晴らしいのひとこと。プロトタイプということで簡易的な遮音ジャケットをまとうだけだが、それでもそのエンジン・サウンドがキャビンにはほとんど侵入してこない。バック・ミラーが奏でる風切音もマイル表示で3桁の速度になって僅かに聞こえる程度である。現時点で確認できる唯一の弱点は、シャシーがたてるロード・ノイズぐらいであろうか。

サスペンションは、フロントがダブル・ウィッシュボーン、リアがマルチリンクというもので、エア・スプリングが前後に備えられる。ロールに対する快適性を上げるために、バリアブル・ダンパーとセルフ・レベリング機構を備える。リアのロールバーには、現行モデルの油圧式から電動タイプに変更されたBMWダイナミック・ドライブ・ロール・リダクション・システムが装備される。これによって、コーナリング時のスタビリティをアップさせようというものだ。

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