メルセデス-AMG GT S エディション1
公開 : 2015.04.20 23:50 更新 : 2017.05.23 16:44
ただ、一度走りだしてみると、あれ?と思うくらい繊細なキャラクターが姿を露わにする。特に切れ味抜群のステアリングは、ちょっとステアするだけで、瞬時にサクッとボディの向きを変える。
ガンガンと鳴り響くクラブ・ミュージックを聴きにいったのに、いざ入ってみればグランド・ピアノから可憐な旋律を耳にするような感覚だ。急転舵を試みても、その瞬間には何事もなかったかのように、次のステップに移っている。
また、キャビンにいるかぎり、応答を妨げるようなボディの捩れも一切感じられない。まるで固い岩のなかにいるかのよう。これだけ明確に素性の良さを見せつけられると、だれもが支払った金額に満足できるどころか、酔いしれることができるはずだ。
もちろんスーパーカーゆえに、あまりに酷い路面のうえでは直接的に衝撃を伝えてくることもあるが、必要以上に体が揺さぶられないのは、先述のようにボディが堅牢なためにしっかりとハーシュネスを足元で吸収してくれるからなのだろう。
その結果、なめらかな路面のうえでは快適に走らせられ、その気になれば66.2kg-mを叩きだすV8ユニットが全力でパワーを与えてくれるため、途方も無いスピードで駆け抜けることが可能。
怖いもの見たさでレース・モードにすると、E-デフはこれまでよりも自由を与えてくれ、そのおかげで(心の準備ができてさえいれば)もはや ’覚醒’ の領域に足を踏み込むことができる。
その際の7速DCTギアボックスの変速スピードも、一見の価値ありだ。