フォードBマックス 1.0エコブースト・タイタニウム

公開 : 2012.08.15 18:30　　更新 : 2017.05.29 18:55

■どんなクルマ？

フォードは、大型ワンボックスでの成功事例をもとに、ダウンサイジングしたフィエスタ・ベースの小型MPV市場に乗り込んできた。そ

そのヨーロッパ市場での最大のライバルはヴォグゾール・メリーバだ。フォードはこのメリーバに対抗するために、革新的なシート・レイアウトを採用した。それは、リア・ヒンジでスライドするリア・シートによって、Bマックスをミニ・リムジンに仕立てあげるという仕組みだ。

更にフォードは3つのアピール・ポイントをBマックスにプラスした。

一つ目は、ピラーレスのキャビン・アクセス。二つ目はクラス・トップの経済性をもつ1.0エコブースト・スタート・ストップ・ガソリン・エンジンと1.6 T DCiディーゼル・エンジンの採用。そして三つ目は電話やミュージック・プレイヤーを制御し、テキスト・メッセージを読み上げるフォードの新しいSYNCボイス・アクティベート・コネクティビティ・システムだ。この他、アクティブ・シティ・ストップ(低速時の衝突防止装置)、キーレス・エントリー、リア・ビュー・カメラ、8スピーカーのソニーDABオーディオ・システムもオプションで選ぶことができる。

トリム・レベルは3タイプ。エントリー・レベルのスタジオは12,995ポンド(160万円)から、ミッド・レンジのゼテック(60%のユーザーがこれを選ぶ)は15,600ポンド(192万円)から、そしてSYNCに雨滴感知式ワイパー、16インチ・アロイ・ホイール、自動点灯ヘッドランプ、プレミアム・ハイ・ファイがセットされる最もラグジュアリーなタイタニウムが17,595(217万円)からという価格帯になっている。

■どんな感じ？

ドライバーズ・シートからの視界は非常に良い。また、リア・シートへのアクセスも容易だ。そして、そのリア・シートは前にでも後ろにでも動く。ゆったり座りたい時には最後方までシートをスライドさせれば良いし、長さ2.3メートルのものをIKEAで買ってしまった場合には、リア・シートを折りたためば良い。

われわれのテスト車両であるタイタニウムは118bhpのエコブースト・エンジンを搭載していたが、この他に3つのガソリン・エンジンが用意されている。99bhpのエコブースト・ターボ・トリプル1.0リッター、89bhpの1.4リッター、そして6速のデュアル・クラッチ・パワーシフト・オートマティック・ギアボックスを組み合わせられる104bhpの1.6リッターがそれだ。また、ディーゼル・エンジンとしては74bhpの1.5リッターと、94bhpの1.6リッターが用意される。しかし、最高級のタイタニウムでは118bhpのエコブーストと1.6リッターのディーゼルのみが選択可能となっている。

ドライバーズ・シートのクッションがやや狭いような気がするし、ダッシュボードのデザインはアッパー・センター・コンソールがやや邪魔な感じがする。しかし、その他のインテリア・スイッチなどの配置は印象的にデザインされてはいるが、混乱することなく操作することができる優れたものだ。また、その視界は前述したように良く、足と足元の空間も広い。

3気筒エンジンはさしたるドラマティックなこともなくスタートし、アイドリングも静かだ。低速域から驚くべきトルクを発してくれ、しかも4500rpmまでキビキビと活発に回る。日本製のベストとまではいかないが、ギアチェンジはスムーズで滑らかた。フォーカスに於いては6速ギアボックスと組み合わせられるが、Bマックスでは5速ギアボックスとの組み合わせとなる。これはハイギアードなフォーカスよりも、高速巡航においてエンジン・ノートを認識することができるということを表している。その分、トップギアでのパフォーマンスは印象的である。

特筆すべきはその乗り心地だ。柔らかいスプリングと洗練されたプッシュによって、しなやかな乗り心地を提供してくれ、特に低速域では恐ろしく静かなのだ。フォードのエンジニアは、このモデルのためにプレミアムなクオリティを要求したようだが、それはドライバーズ・シートに座れば直ぐに実感できるのだ。

■「買い」か？

フォードBマックスがライバル達よりもどれだけ優位にあるのかは、比較テストをしてみないとわからないかもしれない。しかし、その素晴らしい経済性とパフォーマンスを持つガソリン・エンジン、ピラーレスのアクセシビリティに優れたリア・シートへのエントリー、サスペンションのしなやかさ、そして充実した装備は、シティカーとして強力な存在になるだろう。新しいクラス・リーダーになることは間違いないだろう。

(スティーブ・クロプリー)