BMW X5M
公開 : 2015.04.28 23:50 更新 : 2017.05.23 10:25
■どんな感じ?
まず第一にエンジンが素晴らしい。事実、80年代的なターボ・ラグはあるのだが、静止加速の勢いは、NASAのロケットのリフトオフを思い起こさせるほどだ。
その後、タービンがまわり始めると、その直後にはレブ・カウンターのニードルはもうレッド・ゾーンに踏み込もうとしている。
”ちょっと待ってくれ……” あまりのパワーに思わず声を漏らしてしまった。
レッド・ゾーンに踏み込みたくなければ、Mモード時に表示されるヘッドアップ・ディスプレイ上の変速インジケーターをよく見ておいた方がいいだろう。
やや直球な演出ではあるが、つい窓を開け放ちたくなるほど気持ちい音を奏でてくれる点もX5Mの魅力だ。
あたりに反響するバリトン・ボイスを響かせるSVRに比べると、X5 Mのエグゾースト・ノートはエッジが立っていて、しかもレーシーだ。変速するたびにバフッと ’爆発音’ が聴けるのも嬉しい。
変速スピードは気分に合わせて変更でき、機械任せにすると、耳で聴かないかぎり変速していることがわからないほどなめらかなシフト・チェンジを披露してくれる。
もっともクイックな設定にし、さらにマニュアル・モードを選ぶと、多くのデュアル・クラッチ・システムには実現できないであろう、スピードと正確性とともにシフト・アップ/ダウンを繰り返す。
ならば次に気になるのはシャシーの力量だ。これほどの ’威力’ なのだから、シャシーにも並大抵ではない実力が必要である。
しかしこれに関しても心配ご無用。たとえばもっとも硬派なスポーツ・プラス・モードにセットすれば、ボディ・ロールは最小限まで抑えられ、アンジュレーションだろうがなんだろうか、リアはガッチリと路面をとらえ続ける。このクルマに路面状況なんて関係ないのだ。
もちろんM3のような針の穴を通すような正確性に及んでいない点は認めるが、いざ自分が2トンを超える大型車に乗っていることを思い出せば、その身のこなしに感動しない者はいないだろう。