マツダ2
公開 : 2015.04.30 23:50 更新 : 2017.05.29 19:13
■乗り心地とハンドリング
”驚くほど明快なハンドリングのおかげで、狙い通りのライン・トレースができる” ― マット・ソーンダース(ロードテスト編集補佐)
ペダルの重み、シフト・クオリティ、乗り心地、シフト・フィールは絶妙のひとこと。いかにマツダが、細心の注意を払って決断を下したかが、他の小型車よりも明確に伺える。
車体がふらつくことはまるでなく、いつだって安心して運転できるのだ。そして、あらゆる入力装置の重みは一貫して安定しているし、極めてなめらかである。
グリップ力に不足はなく、ロールの絶対量も計算し尽くされており、とてもコントロールしやすい。
動的にこれほど安定している小型車を見つけるのは、実は難しい。 たとえばステアリングだけがクイックだったりするクルマも少なからず存在するのだ。
すべてがの動作が一貫したクルマを開発しようとすれば、おのずと値段が高くなるし、こと小型車マーケットにおいてはあまり重要視されていないのだ。
しかしマツダ2は違う。もう一度言うが、すべての所作が一貫してバランスがとれている。
操舵フィールに雑味がなく、意図したラインをそのままきれいにトレースできるのは、マツダ3(日本名:アクセラ)と似ている。
一方マツダ3と違うのは、スプリングとダンパーがやわらかく、路面からの入力を柔軟にいなしてくれる点だ。
市街地では、排水口やスピード・バンプによって生じる衝撃をあっという間に吸い込み、英国の悪路を高速で走る場合も同様に、ボディをほとんど動かすことなく足だけで凹凸を捌いてみせる。
ストラット、ブッシュ、リンクの共同作業はすべてが有機的で、これを ‘ハーモニー’ というに差し支えないだろう。
われわれのお気に入りの小型車である、フォード・フィエスタとの唯一の違いは、動力性能と堅牢性のなかにあるスイート・スポットの広さだけである。
フィエスタの場合、どれだけハードに運転しようとも、そのひとつうえのところに限界点があるのだ。
したがって低速域では、バランスと活発さが前面に出ており、高速域でちょっとした路面隆起を不意に踏んだ場合でも安定感を失いにくい。
対するマツダ2を同じシチュエーションで走らせると、低速域の柔和なキャラクターが一転、大きなバンプを突然もろに踏んだ場合、なめらかなダンピングは過去のものとなり、同時にコントロールしにくくなるのだ。
しかしもちろん、そのような状況が訪れるなんて、数ヶ月に1度あるかないかだ。
したがって多くの状況においては、マツダ2の際立って正確なステア特性と、限界点の高いハンドリングがドライバーを感心させてくれることになるだろう。