ジャガーXE 2.0i 240PS ポートフォリオ
公開 : 2015.05.01 23:50 更新 : 2017.05.29 18:38
ハードに回せばそれに答えてくれるキャラクターでありながら、高速域ではスッと落ち着く。あるいはドアミラーから生じる風切り音がエンジン音をかき消しているのかもしれないが、それでも静かな類である。
‘あの’ 不運なX-タイプの事件以来(X-タイプはモンデオと多くの部品を共有していた。そして売れなかった。挙句、ジャガーは経営不振に陥った。)、ジャガーはフォードとの関係性を表に出したくないようだが、このエンジンならば全くそんな心配をする必要はない。
われわれ英国人にとって、マニュアルの設定がないということは決して歓迎できる話ではないが、ZF製ATはエンジンのトルクフルなキャラクターにピッタリと合っている。
ややキックダウンが早すぎる感じもするが、その他のギア・レシオのマッチングに不満はなく、エンジンのスイート・スポットをとても探りやすい。
ステアリングに備わるパドルを引けば、さらに自分の思ったとおりの変速ができ、迅速なシフト・チェンジのおかげでちょっぴりその気にさせてくれるのもいい。
コンフォート・モード時でも、フロントのノーズの入りは鋭く、概ねディーゼルと同様不満の少ないシャシーだと言える。
ただ、厳密に見ていけばフロントの軽やかさに比べて、リアがほんの僅かに時差を生じているのも事実。
しかしこれは、われわれのように日々、常軌を逸したスーパーカーを乗っているからこそ感じるのであって、全般的な印象としては、パワー・ステアリングの直線上でのどっしりとしたフィールと、コーナリング時の正確さに納得できる仕立てであるといえる。
峠道に持ち込んでも、コントロールのし安さとクイックな回頭性のおかげで、多くの人が楽しめるはずだ。
一方、乗り心地は硬め。ジャガーが与えてくれたスペインのテスト・ルートでは、その凹凸を十分に感じ取れるほどで、悪路が多い英国で乗るならば必然的に19あるいは20インチの選択肢は外れてくるだろう。
ポートフォリオかR-スポーツ用の18インチの方が、柔らかな当たりを示してくれることになるはずだ。