キャデラックATS-V
公開 : 2015.05.05 23:50 更新 : 2017.05.29 18:32
■どんな感じ?
テキサス州のサーキットを走らせてまず始めに気づいたのは、磁気粘性ダンパーに起因するコントロールのしやすさと乗り心地の良さだ。何かと足元を固めようとする同セグメントのライバル車を軽く超えている。
また、0-100km/h加速は3.9秒をマークしていることから、加速力も半端ではない。
トランスミッションとe-デフのおかげで、パワー・デリバリーにも不満は全くなく、225km/hに達するバック・ストレートでは、304km/hを謳う最高速度も決して伊達ではないと感じる。
e-デフは制動時のスタビリティをも高めてくれるため、自信をもってコーナーに飛び込むことができる。
変速に関してはATの方がうわて。MTの場合、ニードルがレッド・ラインに差し掛かったあたりを見計らって変速するのだが、これほどパワー溢れるクルマならば、いちいちレブ・カウンターを見ている場合ではない。
ターボ・ラグはごくごく最小限に抑えられており、軽量なインペラーも比較的早期に回りはじめる。
ステアリングはクイックで正確である一方、スポーツ・モード時でさえ生き生きとしたフィールに乏しく、いかにも人工的な仕立てなのは惜しい。
ただし高速走行時や、タイヤ・スモークを巻き上げながらドリフトする場合の、ステアリングによる軌道修正はとてもやりやすいと感じる。
数ラップを終えたあと、ATS-Vは極めて親しみやすいパフォーマンス・カーであることがわかった。パワー/トラクションには不足はなく、後輪がぬるりと滑りはじめてからも、慌てふためくことは一度としてなかった。