ヴォグゾール・アストラ1.4ターボ・プロトタイプ
公開 : 2015.05.06 23:50 更新 : 2017.05.29 18:29
ステアリングや乗り心地の改善、軽量化による敏捷性の向上は、プロトタイプの段階でさえ、手にとるようによく分かる。
■どんなクルマ?
4分の1以上の英国のモータリストは、ヴォグゾール・アストラを個人所有したり、あるいは長期テスト車として迎えたりしたことがある……といっても決して言い過ぎではないこのクルマ。
フォード・エスコートやフォーカスに並ぶ、とても馴染み深いクルマだと言える。エスコート/フォーカスと同じく、世代交代毎に能力も高まっており、この11世代目もこれまでどおりの期待を寄せられそうだ。
これほどまでにポジティブな見方をしているのは、このクルマがドイツで制作され、多くがドイツで使用されることに理由がある。それだけでなく、特に低速域のセッティングは英国用に見直されているというのだ。
ヴォグゾールHQの近くにあるベッドフォードシャーの悪路で鍛えあげられ、さらに地元のサーキットで徹底的にテストされたというのだから、もはや死角らしい死角も見当たらなそうである。
画像をご覧のとおり、本テスト車両はまだまだプロトタイプの段階。実際の英国内でのローンチは今秋を予定しており、先代からの飛躍的なステップアップが見込まれている。
ボディはGMが供給するD2アーキテクチャーの上に被さり、どの部分にも徹底的な軽量化が図られている点がこの世代の特徴だ。
全長が49mm、全高が26mm、ホイールベースが23mm短くなっており、結果、ボディ単体で先代よりも少なくとも120kgものダイエットに成功している。
さらに心臓部分は、1.6ℓへと小排気量化することで、先代の2.0ℓの出力から向上しながら200kgもの軽量化を達成している。
使用素材の見直しはもちろんのこと、製造工程までもをていねいに再構築することによって、同マーケットのなかでも図抜けた数値を掲げることに成功したのだ。
足元にはヴォグゾールが開発したHiPer(ハイパー)ストラット・フロント・サスを採用しており、フロントのサスペンション・サブフレームはブッシュを介さずに、直接シャシーに剛結している。
アストラのような小型車にとって、これは当初苦肉の策であったのだが、この方式を採用することにより製造工程は簡略化され、パーツ点数も少なくなった。
さらに軽く、しかもエンジンを適正化したことにより、ホワイト・ボディの段階で21%軽くなっており、それゆえにタイヤ/ブレーキも小さくなったという、副次的な効果ももたらされている。