インフィニティQX70 3.0D S デザイン
公開 : 2015.05.12 23:30 更新 : 2017.05.29 18:28
ただし、現実的にはドライバーが思い描くような、もしくはベントレー・コンチネンタルGTのような迫力はないので、あまり勘違いしない方が身のためだ。
前後に幅が狭いフロント・ウインドウや、(SUVはにしては)低いドライビング・ポジション、大きなリア・ビュー・ミラー、太いリア・ピラーのおかげで、周囲の人間が憧れの眼差しで見ているか否かが確認できないのも惜しい。
加えて、吹き出しそうになるほど重い低速域のステアリングのおかげで、もはやそれどころではないかもしれない。
ただしQX70そのものは運転していて楽しいクルマだ。1750rpmあたりから56.1kg-mものトルクが湧き出し、そこから回転をあげても力強さは引き続く。
しかし、7速のオートマティック・ギアボックスの出来栄えは残念でならない。動作にむらがあり、急にギアが繋がるため、せっかく気分よく走っていても幻滅させられるときがあるのだ。
乗り心地も要改善ポイント。大きめのバンプを踏んだ時のいなし方には問題がないのだが、シャープなエッジを踏んだ時に、もろにキャビンに衝撃を伝えてくる。
スポーツ・モードにすると、コントロールしやすくなるが、結果的には非常に硬く、終始キャビンを揺さぶられる羽目になる。
ラグジュアリーSUVに乗った後だったら、耐えられないと感じるかもしれない。
また、アイドリング時には、ギア・レバーやステアリング、ペダルを通じて振動をブルブルが伝わってくるうえ、加速すればさらに振動は激しくなる。
大径ホイールが盛大に発する高速時のロード・ノイズも簡単に我慢できるものではない。
荷室は幅広かつ浅く、要するに十分ではない。キャビンの質感も同価格帯のクルマのなかでベストとは言い難い。