ポルシェ911タルガ4 GTS
公開 : 2015.05.20 23:50 更新 : 2017.05.29 19:04
PASM可変ダンピングとスポーツ・プラス・モード時のスポーツ・クロノ・パッケージの組み合わせのおかげで、路面への対応帯域幅も実に広い。
ただし標準のカレラのような、分別のあるライド・コントロールやなめらかなハンドリングとは、(あまり良くない意味で)ひと味ちがうことは心得ていたほうが良さそうだ。
サスペンションをもっともソフトにした状態の低速域の乗り心地は快適そのもの。このまま高速域に到達して、あまり酷くはないバンプを踏んだ際も、さしたる不満はない。一方、高速道路の速い速度域に達すると、ゆったりと、しかし明確にボディが上下に揺さぶられることがある。
先述の200kgもの車重増加分は、結果的にリア・アクスルに良くない影響をもたらしているようで、特に路面の状況が悪いところでは、少なからず残念に思うことがあった。
即座のジャッジメントを可能とするPASMの仕事は高評価に値するが、クーペの911と比べると、どうしても気になるところが露呈するのが現状だ。
20インチ・ホイールを履くタルガ4GTSの場合、グリップ不足を感じることはなく、横方向のボディ・コントロールも上下に比べると行いやすい。
他の911と同じように自信をもってコーナーに飛び込むこともでき、精緻かつ心地良い重みが与えられたステアリングも健在だ。
カレラ4ならではのワイドボディのおかげもあって、ミドル・コーナー上の安定感もずば抜けており、サーキット上でも慌てふためくような不安定要素も皆無だった。
ポルシェが言うように、911タルガ4 GTSは ‘わずかに柔らかい911’ といったところ。タルガになったことによって生じる数々の問題を、クルーザーとして磨きをかけることによって解決できているといっていい。