ポルシェ・ボクスターS スポーツ・シャシー

公開 : 2012.08.22 15:25  更新 : 2017.05.29 19:07

■どんなクルマ?

これは特別なサスペンションを持つポルシェボクスターSだ。確かに、30mmほど低いサスペンションを持っているが、それに気づくのは本当のポルシェ・エンスージアストだけだろう。しかし、これは特別なボクスターSなのだ。

PASMを装着したモデルよりも20mm低いスポーツ・シャシー・サスペンションは、フロントが20%、リアが25%固いスプリングを持つ。しかし、最大の違いはロールバーにある。フロントが10%、リアが36%強化されているのだ。PASMと異なり、可変式のダンパーではなく、スポーツ・シャシーは固定式のダンパー・セッティングを持つ。詳細は確かめられなかったが、1,000ポンド(12.5万円)のオプションで、ボクスターSだけに装備されるものだ。

■どんな感じ?

サーキット走行に於いて、ボクスターSは、シャープなレスポンスと素晴らしいバランスを持ったスーパーカーであったが、このスポーツ・シャシーは更にプラスした魅力がある。それはアンダーステアが消えてしまっていることだ。ボクスターのノーズは、狙ったコーナーの頂点をトレースしてくれる。

ロールもほとんど感じない。強化されたロールバーが、しっかりと仕事をしてくれているからだ。そして、固められたリアが、ボクスターにニュートラルなバランスを与えてくれる。もちろん、このグリップは強力ではあるが、テールをスライドさせることも可能だ。とはいっても、このボクスターはドリフト・マシンではない。しかし、そのドリフト・アングルはスロットルによって、スタンダード・モデルよりも調整がしやすくなっている。

とはいえ、弱点がないわけではない。それはティピカルなBロードでのこと。こういった状況下では、PASMを装着したボクスターSのほうがスポーツ・シャシーをもったボクスターSよりも速いのだ。スポーツ・シャシー・モデルは、ラインを外しやすいだけでなく、ステアリング・ホイールをしっかりとコントロールする必要があるからだ。とはいっても、それが不快というわけではないが。

■「買い」か?

標準的なボクスターS、またはPASMを装着したボクスターSのほうが遥かにオールラウンダーであることは事実だ。しかし、サーキット走行をするのであれば、このスポーツ・シャシーの方が面白いし、タイムを刻むこともできる。

ただし、サーキット走行をしないというのであれば、このスポーツ・シャシーはパブでの自慢話に終わってしまう装備だろう。

(ティム・ディクソン)

ポルシェ・ボクスターS スポーツ・シャシー

価格 46,400ポンド(580万円)
最高速度 283km/h
0-100km/h加速 5.1秒
燃費 13.6km/l
CO2排出量 206g/km
乾燥重量 1350kg
エンジン 6気筒2339cc
最高出力 311bhp/6700rpm
最大トルク 36.6kg-m/4500rpm
ギアボックス 7速オートマティック

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