ポルシェ911 GT3 RS

公開 : 2015.05.21 23:50  更新 : 2017.05.29 19:04

500psのGT3 RSは、ポルシェ911を新たな領域に押し上げた ― 中途半端な部分は一切ない。

■どんなクルマ?

ポルシェのスポーツ・マシンとしての力量を知るには、GT3 RSの名を冠した最もピュアな911に乗ればいい。

911 GT3 RSはターボやハイブリッドを利用して速さを ‘付け加えただけ’ のクルマではなく、細部におよぶ徹底的なまでの軽量化と、繰り返し行われたエンジンのチューニングのみによって生み出された、純粋なスペシャリティ・カーである。

搭載する3996ccユニットが8250rpm(!)で500psを叩き出す点は、まったくの別物のエンジンであるにもかかわらず、997ベースのGT3 RSと同じ。

997 GT3 RSは特別な限定車としてのみの販売だった一方で、この991型は標準ラインナップの一部として販売される予定だ。

ポルシェはクランクシャフトを伸ばし、ストローク量を大きくすることで排気量アップを施した。ピーク・パワーがもたらされる回転域こそ変わらないものの、レブ・リミットは数百回転引き上げられている。

最大トルクも僅かに引き上げられ、トルク・カーブは先代よりもフラットに。供給回転数は6250rpmと変わりない。

トランスミッションはGT3と共通のツー・ペダルPDKデュアル・クラッチATであるが、ファイナルだけ僅かにショートになっている。シフト・パドルの可変域も小さく、アクションもシャープになった。

ポルシェがGT3 RSに課したのは、標準のGT3と、これまでの伝説的なポルシェのあいだの架け橋になるというミッションだ。したがってRSとして親しまれてきたモディファイの傍ら、フロント・トレッドの拡大やリア・スクリーンのアクリル化など、排気量アップ以外の部分にもオリジナルの改良が施されている。

リア・フェンダーは超ワイドなターボ・ボディをベースにしており、GT3から左右で28mmの拡大となる。

また、ルーフをマグネシウム製、フロント・フェンダーや前後ボンネットをカーボン製とすることとにより軽量化にも並々ならぬ力を注いでいる。

結果、GT3よりも10kg軽くなり、ターボ・ボディへの拡大や前20インチ、後21インチのホイールを履いているにもかかわらず素晴らしい功績と言える。

シャシーにもフラッグシップ・モデルとしての強化は及んでおり、前後のスタビライザーの変更や、ダンパーの完全な新設計、リア・ダウンフォースの拡大のためにリア・スプリングを締め上げるなど、気合はかなりのもの。

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