ポルシェ911 GT3 RS
公開 : 2015.05.21 23:50 更新 : 2017.05.29 19:04
フロント・スプリングはGT3と共通で、20インチのホイールを履くために車高がわずかに高くなっているというのは興味深い。
ミシュラン・カップ・タイヤとオプションのダンロップ製タイヤはGT3 RS専用の開発となっており、918スパイダーのそれと同種であることを考えれば、いささか張り切りすぎのような気さえしてくる。
足元の設定に合わせて、エレクトリック・パワー・ステアリングにも改良が施されているのもRSの特徴。ダウンフォースとグリップの増加に合わせて慎重に調整した結果、ターンイン・スピードは最大で20%も高まったという。
エアロダイナミクスにも、これまでのポルシェ史上最大の注意を払ったとのことで、新しいフロント・スポイラーは110kgのダウンフォースを生み出し、リア・ウイングに至っては220kgに達する。
トータルではGT3のそれよりも3倍のダウンフォースを発揮。GT3カップ・カーの80%まで近づけたのだそうだ。
最高速度は311km/hと、GT3のそれにくらべると3km/hほど劣る(エアロ・パッケージの影響)一方、0-100km/hタイムはGT3の数値-0.2秒の3.3秒。
ノルドシュライフェのラップ・タイムは7分20秒と620psのもっともパワフルなストリート911であるGT2 RSに2秒のところまで迫っている。
ポルシェいわく、測定時の気温はかなり低かったため、理想的なコンディションでシミュレーションした場合、7分17秒までは短縮できるということだ。
要するに最速のロード・ゴーイング911となる、あと一歩のところまで来ているということである。
■どんな感じ?
乗ってみるとGT3とあまり違いは感じず、£30,000 (565万円)分の価格差を即座に正当化することは難しい。
加えて、ドイツのなめらかな路面のうえでは、驚くほど乗り心地がよく、本当に最速のロード・ゴーイング・ポルシェなのか疑ってしまうほどだ。スクリーンが樹脂製に変わった事による室内環境の悪影響もほとんどない。
価格もパフォーマンスの高さも、フェラーリのスペチアーレと同程度だというのに、苦難という言葉がまったく出てこないのだ。
唯一他のポルシェと違って感じるのは、やはり横幅の大きさである。時に、かなり慎重にならなければ、ひやりとする場面に出くわすこともあった。
ステアリングはシャープになっているがケイマンGT4ほどではなく、まだまだシャープにできる余地を残しているとも感じる。要するに公道を走るかぎり、過剰な部分がないのだ。
そうなればサーキットにいくしかない。