ランボルギーニ・アヴェンタドールLP750-4 スーパーヴェローチェ
公開 : 2015.05.26 23:50 更新 : 2017.05.29 19:21
■どんな感じ?
いい。すごくいい。まったくもって速すぎる。
0-100km/hタイムは2.8秒。体感するに嘘偽りはなさそうだ。基準車から0.1秒の短縮であり、たったの0.1秒にとどまったのは750psの大出力が低速域のトラクションを危うくしているからだ。
最高速度は349km/h。なかなかこんな速度をだせる場所がないことから、もちろんシミュレーション上のデータだ。
馬力戦争はいつまで続くのだろう? ランボルギーニのR&D部門のボス、マウリツィオ・レッジャーニによると、今のところ終焉無き様子だ。
彼いわく、低速域におけるエクストラ・パワーはさほど重要ではなく、200km/hを超えたあたりから、基準車との違いが明確になるのだそうだ。味わう価値があるとのこと。
パワー絶対主義に対する筆者の観点は、もはや冷ややかなものであるが、それよりもV12ユニットの鋭すぎるレスポンスに衝撃を受けた。特にストラーダ→スポーツ→コルサへとモードを切り替えたときだ。
スロットル・レスポンスのみならず、ダンパーのキャリブレーションやステアリング、4WDシステムまで様変わりする。コルサ・モードでは、もはや愉しむことを通り越して、狂おしいほどの野蛮なキャラクターに豹変するのだ。
バルセロナのサーキットが今回のテストの舞台であったが、どんなコーナーを走らせても軽やかで素早い。これも基準車には見られなかった側面だ。
ダイエットの効果やダウンフォースの増加、可変ダンパーのキャリブレーションがコントロール性能をキープしつづけていることが理由のようだ。ステアリングがクイックでありシャシーをアクセル操作ひとつでコントロールできる点も大きい。
アクセルを一定の踏力で踏みながらコーナーに侵入すると、わずかながらのアンダーステアが顔を見せはじめる。そこからの修正は簡単。故意に急な入力を試みると、車体は進んでオーバーステアに転じる。
そこから力を発揮するのはパワフルなカーボンセラミック・ブレーキだ。決してガクリと効きはじめるのではなく、なめらかに、なおかつペダルの踏み具合にも従順に反応してくれる。
ステアリングも基準車より改善されており、ヘアピン・コーナーでさえも3回転以上回さないで済むのもいい。すこぶるクイックかつダイナミックな印象だ。
そんなステアリングも高速域ではどっしりと落ち着いているのは、ギア比がスローになっているから。どの速度域でもとにかくナチュラルだ。
価格から考えるとマクラーレン650Sほどの満足度ではないが、大きな体躯を素早く動かすには十分な仕立て。フェラーリF12ほどナーバスではない点も好印象だ。
ギアボックスは、特にレブ・リミット付近のフル・スロットル時の変速がとてもクイックになっているが、シングル・クラッチATゆえ、アクセルをわずかしか踏んでいない時や低回転域で、気だるい変速をすることは敢えて書いておく。
ただし全体を台無しにするほどではなく、全般的には惚れ込んでしまう類のクルマだ。野蛮で古典的なランボルギーニはここにある。