BMW 3.0 CSLオーマージュが公開
公開 : 2015.05.27 22:40 更新 : 2017.06.01 02:09
BMWのアイコニックな ‘バットモービル’ が、BMW 3.0 CSLオマージュというモデル名とともに、ドラマティックなコンセプト・カーとして生まれ変わった。
コンコルソ・デレガンツァ・ヴィラ・デステで公開されたこのクルマは1970年初期に活躍した3.0CSLのデザインをトレースしたワンオフ・モデルだ。
製品化する予定はない、というのがBMWはの意向であるが、BMWの将来的なプロダクション・モデルには、このクルマのデザインを反映させるようだ。
また、メルセデス AMGのブラック・シリーズに対抗すべく、Mモデルのハイ・パフォーマンス版の計画もあり、3.0 CSLのデザインが役立ちそうだ。
アウディのRSディビジョンからBMW Mに移籍し、新たなトップになったフランク・ヴァン・ミールも、この計画を猛プッシュしている。
Mモデルのハイ・パフォーマンス版の1台目はM4 GTSになる予定であり、夏のペブルビーチ・コンクール・デレガンスに向けて準備が進んでいるという。
「3.0 CSLオマージュは、BMWの将来的なデザインを示唆するショー・カーです」と、今月初旬のニュルブルクリンク24時間レースで語ったのはミール本人。
「ショーで展示することにより、カスタマーの好みに合うかを分析し、フィードバックを得るようにしているのです」とも。
3.0 CSLオマージュは近年BMWが発表したオマージュ・カーの3種類目にあたる。ちなみに初代は2008年のM1オマージュ、2代目は2011年の328オマージュだ。
328オマージュは328レーサーが生まれて75周年を祝福されるために制作されたもので、初代と2代目のオマージュ・カーは両方ともヴィラ・デステで公開された。
3.0 CSLオマージュは2ドア・クーペ。全長は4997mm、全幅は2018mm、全高は1302mm、ホイールベースは3190mmだ。
M6全長が4898mm、全幅が1899mm、全高が1374mm、ホイールベースが2851mmであることを考えると、それぞれがわずかに大きくなっている。
このクルマの技術仕様に関しては明らかにされていないが、後輪駆動であり、長いボンネットの下には ‘e-ブースト’ 電気モーターを組み合わせた3.0ℓ ストレート6が収まることになるだろう。
CFRP(強化繊維プラスティック)や、i/Mカーが使用する軽量マテリアルを大幅に使用することにより、車重にも気を配っている様子。
オリジナルの3.0 CSLが、3.0 CSよりも200kg軽くなっていたことと同じ文法だ。当時はたくさんのアルミニウムを使用することにより軽量化を実現していた。
ホイール・アーチからボンネットまで回りこむようにデザインされたフェンダー部分は、車体後方に空気を送り込むためのもの。
タイヤは、前:265/35 21インチ、後:325/30 21インチ。エア・インテークや固定式のリア・ウイング、ルーフ・スポイラー、フロント・スプリッター、横出しの大径エグゾーストが外観上の特徴だ。
ルーフ・ラインは3.0CSLを彷彿とさせ、また、3.0CSLが標準色として用意していたゴルフ・イエローがオマージュのテーマ・カラーとなっている。
BMWのモダン・モデルよろしくレーザー/LEDヘッドライトを組み合わせている点も、オマージュの特徴である。
インテリアの大部分を占める素材はCFRP。インストゥルメント・パネルにはウッドがあしらわれている。これもオリジナルの3.0 CSLと同じだ。
速度、回転数、選択しているギアは、ステアリングの背後にあるディスプレイに表示される。
デザイン・チーフのカリム・ハビブいわく「BMWのデザイナーにとって3.0 CSLは心の拠り所のような存在でもあるのです。レースの遺伝子とデザインは今でも多くの人に支持されています」
「オマージュは、そんなオリジナル・モデルを祝福する存在であり、同時にオリジナルの良さを現代的な解釈で打ち出したモデルです。あくまで間接的にオリジナルの ‘香り’ を放つことを目指しました」
また、もう一人のデザイン・チーフであるエイドリアン・ヴァン・ホーイドンクは「オマージュは、単に過去の栄光を誇示するためだけではなく、将来の方向性を決めるために過去から学ぶことがいかに大事かをも示しています」とも。
またM4 GTSは、この3.0 CSLオマージュとM4 MotoGPセーフティ・カーをベースに設計するとのことで、メカニカルな変更点と並び、大型のリア・ウイングなど外観上の大幅な変更点も特徴となる。
製品化を意図したウォーター・インジェクション・システムも採用する予定だという。
また、これもニュルブルクリンク24時間レースでAUTOCARに明かしたことではあるが、少量生産のライトウエイト・モデルの計画もあるとのこと。
先週、USのウェブサイトでうっかりと公開されたことから、M4 GTSの公開も秒読みのようだ。2010年発売のM3 GTSは、軽く、内装材が省略され、150台のみが手作業で組み立てられていたことから、M4 GTSも同じようなモデルになることが予想される。
ただ、GT3ロード・カーの計画はまだないとのこと。「もちろん視野に入れていますが、他にも進んでいるプロジェクトがたくさんあるのです」とヴァン・ミール。
「マーケットが、そのようなクルマを受け入れる態勢ができあがれば、もちろん考慮の可能性がありますけどね」と締めくくった。