DS 5 ブルーHDi 150 S&S
公開 : 2015.05.28 23:50 更新 : 2021.01.30 22:12
独立して間もないDSブランドのクルマに投資することを躊躇うのも理解できるが、それだけの価値があるクルマであることは間違いない。
■どんなクルマ?
シトロエンの名をもたないDS5は、DSがシトロエン・ブランドから完全に独立した後の初のモデルである。
もっとも目を引く変更点は、ノーズ部分のスタイリング。これまでよりもアップライトになり、横幅も大きくなっている。周囲にはポリッシュ仕上げのアルミニウムが配され、もちろんダブル・シェブロンもない。
ヘッドライトも、キセノンのメイン・ユニットと3つのLEDを組み合わせたものに(これもDSのシンボルだ)切り替わった。バンパー下部の意匠変更もDS 5の特徴である。
独特な ‘コックピット’ インテリアには、この世代から7インチのタッチスクリーンが組み合わされる。スマホの画面を映しだすミラー・リンクと ‘eMyWay’ ナビ・システム(奇妙な名前だ)も標準となる。
しかしDS 5のなかで最も重要なのは外観ではなく目に見えない部分だ。
2011年、初代のデビュー時、特にシャープなエッジを踏み越えた際の衝撃に処理に圧倒的な瑕疵があることを周囲はこぞってこき下ろした。ストラクチャー後部が衝撃を増幅することも大問題となった。
これに対してシトロエンは少しずつ問題を解決してきたのだが、今回ようやく大幅な進歩があったのだ。
新しいDS 5の車高はDSいわく “ほんの数ミリ” 高くなっており、ストローク量が大きくなった新しいショック・アブソーバーが組み合わされる。ダンピング力を瞬時に変更するバルブ機構が組み合わされるのも特徴だ。
ブルーHDiディーゼル・エンジンを搭載モデルは、120ps/149ps/181psの3種。ガソリン・エンジンを搭載するのは164psを発揮するターボチャージド・モデルのみとなる。
また、多くはないが4×4ハイブリッドも用意され、こちらは2.0ℓディーゼルが前輪を、電気モーターが後輪を回す仕組みだ。こちらがハイ・エンドの立ち位置となり、£34,890(663万円)のタグが掲げられる。
最も安価に買えるのは、120psを発揮するブルーHDiを搭載したエレガンスというグレードであり、6速マニュアル・ギアボックスを組み合わせたものなら £25,980(493万円)で購入できる。
■どんな感じ?
カントリーサイドからモーターウェイを抜け、パリ市街の真ん中に向かう今回のテストに供したのはブルーHDi 150 S&S(ストップ-スタート)に6速マニュアル・ギアボックスを組み合わせたモデルだった。
トリム・レベルは最上位のプレステージ。価格は£29,560(562万円)であり、装備内容は “たっぷり” という一言で片付けられるほど実に充実したものだ。
DS 5がデビューしてから4年が経つが、特に深いラインが刻まれたボディ・サイドと薄く伸びたサイド・ガラス、スロープしたルーフラインは高い評価を得てきた。