ランボルギーニ・ウラカンGT3
公開 : 2015.06.01 23:50 更新 : 2017.05.29 19:21
かねてからの不得意分野を克服するために、ランボルギーニは独自のレース部門を自前でこしらえた。その名もスクアドラ・コルセ。彼らの作る最新作であるウラカンGT3に乗ってみることにする。
■プロローグ
レースへの参加、そしてその勝利を自身のメーカーのモチベーションとしている跳ね馬のメーカーとは逆に、レースへ参加をしないことを社是としていたフェルッチオ・ランボルギーニ。
おそらくフェルッチオ・ランボルギーニは、トラクターの製造販売をしながら、フェラーリやマセラティ、ランチア、アルファ・ロメオがレースにお金をたっぷりと注ぎ込んでいたのをじっくりと観察していたのだろう。
ただ、当時と今ではまったく状況が違う。たとえばインターナショナルFIA GTスポーツカー・グリッドを見てみると、そこにはアストン・マーティンやメルセデス AMG、マクラーレンなどランボルギーニがライバルとするメーカーのクルマがたくさん並んでいる。
参戦しないということはすなわち、彼らをやっつけることさえできないというわけだ。
2年前にレーシング部門の設立50周年を迎えたランボルギーニは、それ以前からディアブロやムルシェラゴを用いてレーシングカーの制作を試みていた。その一環として、世界中で行われるワンメーク・レースであるスーパー・トロフェオ用のガヤルドのカップ版や、ウラカン・スーパー・トロフェオをローンチしてきたのである。
そして今、スクアドラ・コルセは、デザイン/エンジニアリングに的を絞り、‘ワークス’ ランボルギーニを制作することに決めた。インターナショナルFIA GTチャンピオンシップに参戦するためだ。
AUTOCARのオフィスにランボルギーニから試乗の誘い電話がかかってきたとき、ていねいに引き受けさせてもらったものの、本当にレーシングカーを運転できるのか、いまいち実感がなかった。今日という日が4月1日でないか、何度となくカレンダーを確認したほどだ。
■ボディ内部
GT3は、ロードカーであるウラカンと同じ、アルミニウム-カーボンファイバー・ハイブリッド・シャシーを用いる。冷却システムを含む細々とした点やボッシュ製のECUに換装している点を除いては、5.2ℓ V10エンジンを使用するのもロードカーと同じだ。
最高出力が507psに制限されているのはレギュレーションゆえ。したがって実際には、ランボルギーニのテスターいわく、スーパー・トロフェオ・ウラカン・カップ・カーの方が、GT3よりも190km/h以上の直線では速いくらいなのだそうだ。