BMW 640d Mスポーツ
公開 : 2015.06.02 23:50 更新 : 2017.05.23 10:25
3.0ℓツイン・ターボ・ディーゼルはユーロ6に対応し、これまでのものよりもさらに経済的になっている。燃費は18インチのホイールを履いたモデルならば18.5km/ℓに達するとのことで、この数字をもとに航続距離を算出すると、なんと1264kmに及ぶ。
8速オートマティック・ギアボックスの仕事もじつに優美なもの。GPSをベースにしてギアを選択してくれるシステムのおかげで、(ほとんど)すべてのダウンヒル・コースで常に筆者が求めるギアを瞬時になめらかに選んでくれた。結果、ステアリング・ホイールについたパドル・シフトを使うこともほとんどなかった。
一方、ステアリングとダンパーをわずかにシャープな仕立てにしたというBMWの主張に関しては、残念だが手放しに受け入れるわけにはいかない。
というのも、ステアリングはさほどリニアではないし、中立付近の軽やかさやロック付近の重みも、どっちつかずなのだ。モードによって、あからさまに重みを変えてくる点もあまり好きにはなれない。
速度や路面状況によっても重みは変わる。時に、ずっとステアリングを握りしめていなければ不安になることもある。急に重みが失われ、次の瞬間に再び重みが戻ってくるといったことも起こり、結果的に狙ったラインをトレースするために神経を使うことになるのだ。
Mスポーツには硬めのサスペンションと20インチのホイールがつく。コンフォート・モード時では、一般的な路面だと不満はないが、英国のようにかなり酷い路面だとちょっと辛い。
スポーツやスポーツ・プラスにした場合はご想像通り。ちょっと辛いぐらいでは済まされない。
その代わりに九十九折では車格からは想像できないほど軽やかな身のこなしを披露してくれる。ボディも殊のほかコントロールしやすく、リアを遊ばすこともさほど難しくない。ブレーキの制動力も頼りになる。
6シリーズの立ち位置は常に賛否両論であるが、内装は間違いなく前向きに受け入れられる点のひとつだ。新しくなったレザーワークとしっとりと輝くセンター・コンソールは、トップ・クラスのインテリアであることをそこはかとなくアピールしているし、調整幅が豊富にあるシートの座り心地もいい。
前部座席のスペースもたっぷりと用意されているし、iDriveインフォテインメント・システムの使いやすさも同クラスのトップ・レベルにある。