セアト・イビーザ1.0 TSI 95
公開 : 2015.06.02 23:40 更新 : 2017.05.29 18:44
セアトのスーパーミニは外観こそ変わらないが、新しいエンジン、スマートなキャビン、あらたなテクノロジーを手にし、わずかなシャシー変更を受けた。
■どんなクルマ?
「間違って先代のイビーザの写真をアップしているな」とお思いのあなた。AUTOCARはなにも間違いをおかしたわけではなく、これは ‘あくまで’ 最新のイビーザである。単に先代と形が変わっていないだけだ。
強いて変わっている点を挙げるとすれば、明るくなったLEDテール・ライトとデイライトくらいのものだろうか。
裏を返せば、完全に新しいモデルがこれから先2年の間でデビューすることを約束されていることにもなるし、これまでの均整のとれたルックスがそのまま保たれているとも捉えることができる。
外観とはうって変わって内装にも新しい部分が多い。その一例として、これまでの硬く凡庸なデザインのグレーのプラスティック・パネルは柔らかい手触りの高級感あふれるパーツに置き換えられている。
また、マヌケなインフォテインメント・システムは新しいものにスワップされ、モダンでユーザーフレンドリーなタッチスクリーンから操作することができる。
エンジン・ラインナップも変更済み。75psを発揮するフォルクスワーゲン製の1.0ℓ 3気筒エンジンが自然吸気エンジンを下から支え、上は95psを発揮するターボ・ユニットが加わった。また新しい1.4ℓディーゼルに至ってはCO2排出量をわずか88g/kmまで削減しているという。
今回テストをするのは3気筒999ccのターボ・ガソリン・モデルだ。
■どんな感じ?
これまでのイビーザといえば、その彫刻的なルックスとは裏腹に、動力性能が後れを取ってしまうという事実がつきまとっていたのだが、実は最新のモデルも例外ではない。
たしかにスプリングとダンパー・レートを見直すことによってターンインの際の身のこなしや、限界域のボディ・リーンは改善されているのだが、速度感応型の電制ステアリングは軽すぎるし、フィードバックの絶対量も足りないのだ。
ただ、ダイナミックなクルマの最高傑作を目指して作られたわけではないということを認めたうえならば、軽い操作系は市街地の運転でも助かるし、ふわりとしたサスペンションもマンホールを踏んだ時などのハーシュネスを抑えてくれるのに一役買っているといえる。
さらに感動したのは、1.0ℓのターボ・ユニット。95psのものを試したのだが(DSGを搭載した111psのものもある)、1400rpmから元気よく回ってくれるだけでなく、パーシャル・スロットル時でもラグがないのも嬉しい。
そこからさらにアクセル・ペダルを踏む力を強めると、スーッとなめらかにパワーが流れこんでくる。途中でドッとトルクが湧きあがることもないし、明らかなフラットスポットもない。レブ・リミットまでとかくリニアに回るのだ。
ガソリン・エンジンをハードにチューンナップしたモデルは、今年の終わりにクプラが出るまでお預けだが、この999cc 3気筒ユニットのメカニカルな部分の洗練性と扱いやすさは特筆に値する。したがってそう遠くない将来、レオンやゴルフが同じエンジンを搭載することはほぼ確実だと言っていい。