ミニ・ジョン・クーパー・ワークス

公開 : 2015.06.04 23:40  更新 : 2022.12.12 21:30

  • ヘッドライトのスモール側に採用されたリング状のLEDがJCWの証。

  • 試乗車はオプション設定の18インチ・アロイ・ホイール JCWカップ・スポーク 2トーン、205/40R18サイズのランフラット・タイヤを履く。

テスト車は6ATで、オプションの電子制御のダンパー・コントロールを装備する。オプションが豊富なことはミニのつねであり、魅力のひとつでもある。テスト車は18インチのアロイ・ホイール、ランフラット・タイヤのほか、「ダイナミカ・レザー・コンビネーション・カーボン・ブラック」という30万6000円プラスのステキな内装を備えている。

■どんな感じ?

センターコンソールのトグル・スイッチを下に押すと、エンジンがブオンッと軽く爆発してから目覚める。走り出した途端に、その上質なフィールに驚く。これはいいものである、そう五感に訴えかけてくる。精密な工作機械によってつくられた精度の高さ、英国生産ではあるけれど、ドイツ製品の優秀さというものを感じさせる。誤解を恐れずにいえば、ポルシェにも通じる品質感である。

試乗会の場所がターンパイクなので、ぶっ飛ばさざるを得ない。最高出力の発生回転が引き上げられた2ℓターボ・エンジンは5000rpmを超えると快音を発する。専用のエグゾースト・システムはパワーだけではなくサウンドもチューニングされている。イギリス車の伝統を意識した、乾いた低音を聴かせてくれる。スロットルオフすると、バラバラバラッというレーシング・エンジンもかくやのバックファイア音を発したりもする。私的には、アルファ8CコンペティツィオーネのV8以来の経験だ。6000rpmまで滑らかに回り、6速ATは完璧な仕事ぶりでシフトアップする。

ダイナミック・ダンパー・コントロールの恩恵によるものか、乗り心地は硬めではあるけれど、初代、先代のように荒れた路面で飛び跳ねたりはしない。ただし、フルスロットルで軽い凸状のところに出くわすと、空を飛んで行く感が一瞬だけある。演出なのでしょうね。

電動アシストによるステアリングは軽めで、レスポンスが素早く、正確だ。ただし、高速コーナリングで、曲がりながらブレーキを踏むと、ブレーキ制御によるものか、曲がりすぎるきらいがある。若干大きくなったボディでゴーカート・フィーリングを生み出すために、電子制御を多用して俊敏なハンドリングをつくり出している。車重1280kgで、前荷重が820kgと超フロント・ヘビーなのに、まったくそういう感覚がない。痛快なほどよく曲がる。

記事に関わった人々

  • 今尾直樹

    Naoki Imao

    1960年岐阜県生まれ。幼少時、ウチにあったダイハツ・ミゼットのキャビンの真ん中、エンジンの上に跨って乗るのが好きだった。通った小学校の校長室には織田信長の肖像画が飾ってあった。信長はカッコいいと思った。小学5年生の秋の社会見学でトヨタの工場に行って、トヨタ車がいっぱい載っている下敷きをもらってうれしかった。工場のなかはガッチャンガッチャン、騒音と金属の匂いに満ちていて、自動車絶望工場だとは思わなかったけれど、たいへんだなぁ、とは思った。

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