フェラーリ488GTB
公開 : 2015.06.05 23:50 更新 : 2017.05.29 18:52
SSC2は電制LSDを介して作動する1世代目と異なり、トラクション・コントロール、アクティブ・ダンパーなどを総合的にコントロールできるようになった。
■どんな感じ?
意外に思われるかもしれないが、数字から想像するほど獰猛ではなく、どちらかというと大人しい、というのが第一印象だった。
マクラーレンF1よりも35psパワフルなのだから、当然スーパーカーらしい力強さはあるが、思いのほか落ち着いている。
今回はフィオラノのテスト・コースと、モデナのヒルサイドを走らせたのだが、常に488GTBのステアリングはドライバーの入力に従順。これまで乗ったミド・エンジンのスポーツカーの中で、もっとも穏やかだといってもいいだろう。
コーナー進入時のアンダーステアの気配はほとんどなく、シャシーの懐の深さ、かなりクイックではあるがたっぷりと情報量を伝えてくれるステアリング、豊富なトラクションの織りなす共同作業は、驚くほど簡単なドライビング・エクスペリエンスを与えてくれる。
そこですっかり忘れていた事実に気づく。そう、488GTBが搭載するのはターボ・エンジンだったのだ。あまりに嫋やかに回るゆえ、エンジン以外のことばかりに目が行っていた。
パワーの供給マナーは自然吸気エンジンさながら、というか自然吸気そのものといってもいいほどであり、求めるパワーと実際にもたらされるパワーに全くといっていいほど相違が見当たらない。
件の低回転域ではトルクを絞るというシステムのおかげで、スロットルの微細な操作で車体のアングルも調整しやすい。もう、ターボだからどう……ということ自体がナンセンスなことのように感じる。
テスト前は ‘犠牲’ という言葉が脳内にこびりついていたが、犠牲どころか、自然吸気の時代よりも現状は良くなっていると思った。
したがって488GTBが搭載するのは、真のフェラーリ・エンジンと表現していいだろう。音に陶酔しレスポンスに痺れる、いつものそれだ。
ではランボルギーニ・ウラカンと比べるとどうか? 差はほんのわずかではあるが、やっぱり自然吸気の方が気持ちがいいし、レスポンスも優れる。
ただ私は、ターボを選んだにもかかわらず、ウラカンとの差がほんのわずかなところまで縮められたことに拍手を送りたい。
よって現時点でのAUTOCARの評価は5つ星だ。