ベントレー・コンチネンタルGT

公開 : 2015.06.05 23:30  更新 : 2017.05.29 19:02

実際に乗ってみても気筒数が切り替わったことにほとんど気づかない。とても静かな環境で、じっと耳を澄ましてようやく、6気筒分の穏やかな吐息を感じ取れるくらいだ。

力強くアクセル・ペダルを踏み込んでみると、瞬時に突拍子もない加速をするのはこれまでと同様。ZF製のギアボックスは素早く適切なギアを選び、1700rpmからたっぷりとしたトルクが湧きあがる。

ただこのトルク、出しゃばりなところが全くない。路面の脇に植えられた木々がいつもより速くうしろに過ぎ去っていくことは確かなのだが、中にいるかぎり、密閉された空間が静かにふわりと前進している感じにすぎないのだ。

ハンドリングはグランド・ツアラー寄りの味付け。V8に比べるとノーズは軽く、ステアリングは極めて漠然としているため、次々に訪れるヘアピンをクリアするというよりもむしろ、緩やかなコーナーを悠々と走るのに向いている。

車重にしては御しやすく、ギア・レバーをスポーツの位置に動かすとアクセルのつきが良くなり、よりシャープに感じる。ただ車体の重さは常に付きまとう。

嬉しい事にグリップ・レベルはとても高く、いつもならかなり気を使うような濡れた路面でも、一切足もとを掬われることなく、淡々と前に進んでいく。

エンスージァストにとっては “自分で操っているような感覚がもっと欲しい” と思うかもしれないが、真のグランド・ツアラーとはこのようなものである。

乗り心地も良好。標準のエア・サスペンションは路面状況に応じた4つのモードが用意される。もっともスポーティなモードにするとわずかに硬すぎるが、これよりひとつ柔らかいモードならば、ボディの上下動をある程度制限しながらしっとりと心地いい乗り心地を披露してくれる。

インテリアの質感はとても高い。レザーやクロームは言うまでもなく本物であり、見た目、手触りも心地よい。フロント・シートは座り心地がよく、サポートにも抜かりはない。

一方のリア・シートはバッグを置くくらいがちょうどいい。ただ、短い距離の旅行ならば、フロント・シートを少し前に出しさえすれば、不満の声もあがらないはずだ。

残念なのは、やや時代遅れになりつつあるインフォテインメント・システムくらいだろうか。新しいシステムに比べると見た目がやや古く感じ、反応も遅い。

これに対してはベントレーも十分に分かっている様子で、ベンテイガのデビュー以降は最新のものに置きかわるのだそうだ。

Wi-Fiオプションは£875(17万円)分の価値がある。4つのデバイスの接続を可能にし、実際に音楽をストリーミング再生しながらPCの作業をしてみたが、スピードには問題が見当たらなかった。

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