日産エクストレイル・ハイブリッド20X 4WD
公開 : 2015.06.08 23:55 更新 : 2021.04.22 13:28
■どんな感じ?
今回、試乗場所として選ばれたのは横浜のみなとみらい地区。試乗時間はみなとみらいを起点に約90分(撮影込み)となり、エクストレイルらしさを味わえるオフロード走行の場面はなし。街中および高速道路がメインの試乗となった。
今回の公道試乗以前に、日産のテストコースにてすでに試乗を済ませていたこともあり、エクストレイル・ハイブリッドを目の前にしても特別に目新しさを感じないのが正直なところ。
ガソリン車と外観上の違いが少ないことは前述のとおりで、20X同士で比較するとボディサイズも全長4640×全幅1820×全高1715mmとまったく同じ。車両重量は20Xの2列シート車が1440kgなのに対し、20Xハイブリッドは1570kg。タイヤサイズを含めて装備の違いはほとんどないので、約130kgの重量差はそのまま、リチウムイオンバッテリーやモーターなどハイブリッドシステムの重量と考えて良さそうだ。
運転席からの眺めもまた、ガソリン車のエクストレイルとまったく同じ。他メーカーのハイブリッド車ではタコメーターが省かれていることが多いけれど、エクストレイル・ハイブリッドではしっかり速度計の横に用意されている。これもハイブリッドらしさを感じさせない要因のひとつではあるけれど、タコメーターを残した理由を開発者に聞くと「運転する楽しさを視覚で味わう」ため、とのこと。
スタートスイッチを押してもエンジンはかからず、システムの起動を知らせるべくメーターが発光するのみ。CVTのセレクターをDレンジに入れ、アクセルを踏み込むとスルスルとエクストレイル・ハイブリッドは走りだす。このとき車外では「キューン」というモーターの駆動音がしているのだが、車内ではほとんど聞こえない。無音のまま加速していくような印象さえある。
2ℓのガソリンエンジンより明らかに力強い加速に身を任せていると、時速40km/hに届く直前あたりでエンジンが始動する。ストップ&ゴーが多い街中での近距離移動であれば、EV走行だけで目的地に到着するなんてこともありそうだ。
そしてそのままアクセルを踏み込んでいくと、モーターにエンジンがアシストしたフルパワー状態となる。このときのトルク感は2リッターのガソリン車を明らかに上回り、体感的には2.5〜3ℓくらいか。約140kgもの重量増を感じさせない走りっぷりは、燃費のことを忘れてトバしてしまいそうだ。それくらい、エクストレイル・ハイブリッドはトルクフルで気持ちいい。
クルマの性格的にハンドリングを楽しむモデルではないけれど、それでもSUVとしては驚くほど軽快に走ることにも驚かされる。バッテリーを搭載したことによる前後重量バランスの変化や、リアにも追加装着されたスタビライザーの効果もあって、ストロークの長いアシの上で重たいキャビンが揺すられる……というようなSUVの乗り心地とは一線を画す。視界が高いことを除けば、まるでスポーティセダンを操っているかのような感覚を味わえる。