日産エクストレイル・ハイブリッド20X 4WD
公開 : 2015.06.08 23:55 更新 : 2021.04.22 13:28
■「買い」か?
ここ数年、コンパクトからミドルサイズのSUVはハイブリッドモデルが数多く登場している。トヨタ・ハリアーや三菱アウトランダー、ホンダ・ヴェゼル、スバルXVといったモデルは「タフさ」や「悪路走破性」といったSUVらしさを薄め、燃費やスタイリッシュな内外装といった点をセールスポイントとしている。
そのなかで登場したエクストレイル・ハイブリッドは、パワーユニットこそライバルと同様にハイブリッド・システムを採用するものの、そのコンセプトは大きく異なる。それは「エクストレイルらしさを失わない」というものだ。
開発陣が口を揃えていう「エクストレイルらしさ」とは、本格SUVとしての走破性能やタフさを感じさせるスタイリング、そして豊かな積載性能など。アクティブでワイルドなエクストレイルらしさは残しつつも、ハイブリッド化による燃費性能や走行性能の向上を実現している。
そして、その狙いはほぼ完璧に具現化しているといっていいだろう。ハイブリッド化することで3列めシートは失われているものの、1列目および2列目シートはガソリン車と共通であり、もちろん居住性は高い。バッテリーを搭載したことによりラゲッジルームの床が5cmほど高まっているが、実用面では大きな違いはないだろう。ラゲッジ容量も430リッターというクラストップレベルの大きさが確保されているから、ウィンタースポーツやアウトドアを楽しむという既存のエクストレイル・オーナーにとっても納得のハイブリッド化といえるだろう。
車両価格は20Xハイブリッド エマージェンシーブレーキパッケージ(4WD)が301万1040円。ガソリンエンジン車でほぼ同じ装備となる20Xエマージェンシーブレーキパッケージ(4WD)が259万9560円だから、約40万円ちょっとの差になる。LEDヘッドライトやリアのスタビライザー、そしてハイブリッド専用のタイヤを含めての価格差と考えれば、この数字はじゅうぶんに説得力のあるものだと感じる。
正直に言うと、エクストレイルにハイブリッドが追加されると聞いたときに少し落胆した気分もあった。いわゆるファッションSUVとは違う、タフで遊びたおせるクルマがエクストレイルだと思っていたし、2代目ではクリーンディーゼルを設定して新しい方向性の開拓にもチャレンジしていたのだから。しかしエクストレイル・ハイブリッドの試乗を終えた今は、180度考え方が変わってしまった。自らのストロングポイントをしっかりと見つめ、それを残した上で現代の交通事情に則した環境性能と運動性能を併せ持ったエクストレイル・ハイブリッド。どうしても7人が乗れないと困る、という事情があるのでなければ、選ぶのは間違いなくこっちだ。
(文・佐橋健太郎 写真・前田恵介)
日産エクストレイル・ハイブリッド20X 4WD
価格 | 3,011,040円 |
燃費 | 20.0km/ℓ |
乾燥重量 | 1630kg |
エンジン | 直列4気筒1997cc+モーター |
最高出力 | 147ps + 41ps |
最大トルク | 21.1kg-m + 16.3kg-m |
ギアボックス | CVT |