レンジローバー・スポーツSVR vs BMW X5M vs アルピナXD3ビターボ
公開 : 2015.06.09 23:40 更新 : 2017.05.29 19:32
エンジンに視点を移すと、X5Mの搭載する4.4ℓ V8はいかにも ‘ドイツ的’。レヴ・レンジの残りの30%で個性を発揮するタイプだ。アルピナの3.0ℓ直6ターボ・ディーゼルに比べると、ユニークな印象。
一方のSVRが搭載する5.0ℓの ‘塊’ は実にあっけらかんとしている。エンジン・サウンドは色彩に満ちており、どのような回転域でも心から満足できる。
峠道でのSVRはさらに親しみやすく感じる。対するX5Mはありとあらゆるものを一気に詰め込もうとしているような印象を受けるのに対し、SVRには無理な ‘脚色’ のようなものが一切ないのだ。
X5Mは他の最新のMカーと同様、ギアボックスはクリープを行わず、ブレーキを離すと唐突に加速し始める。それだけだ。
決して悪いものではないし、車格に比べると小さくかつ軽やかな印象であるが、2.3トンと575psのラグジュアリーSUVなりの ‘おもてなし’ のようなもなものがあってもいいように感じる。少なくとも自らがお金を払うならば、それを期待するだろう。
要するに硬派なのだ。
しかしX5Mにしかない魅力もある。それは選択肢の豊富さだ。たくさん用意されたボタンを操作すると、ステアリングの重み、ギアボックス、エンジン・レスポンス、ダンパー・セッティング、トラクション、スタビリティ・コントロールなどを個別に調整できるのだ。Mカーならではの思想である。
テクニカルな面での洗練はX5Mに分がある。
スポーツ+を選んでみると、サスペンションやパワートレイン、ステアリング・システムが一気にギュッと引き締まる。路面状況が良ければ驚くほど敏捷性が増し、グリップとステアリング・レスポンスは想像を超えた領域に達する。
コンフォート・モードで走るかぎりは、とても落ち着いており、ステアリングの重みも穏やかでありながら一貫性がある。手に伝わるフィードバックも豊富で、xDrive 40dよりもハツラツとしている。
ただし、たしかにとてつもなく速いクルマではあるのだが、エンターテイメント性は希薄。あくまで無骨な実力主義、というのがX5Mの立ち位置のようだ。
それではいよいよ結論といこう。