BMW M6コンバーチブル
公開 : 2015.06.09 23:30 更新 : 2017.05.23 10:25
7速デュアル・クラッチ・ギアボックスの変速スピードを最速にすると、瞬きよりも速い変速が可能。ギアが変わるたびにバフッと破裂音が生じるのも気持ちがいい。
ただ、直線での精彩は一転、コーナーに差し掛かると途端に2トンのマスと多大なイナーシャが無視できなくなる。
大型のディスクとキャリパーはたしかにスピードを抑えてくれるが、体躯の大きさに見合ったものではない。ペダル・トラベルの長さも相まって、決して自信を掻きたててくれるレベルではない。
コーナーに差し掛かると、悴んだステア・フィールがどうにも気になる。この時点で、コーナリングに対する集中力はもう損なわれてしまっている。
ウエイトは素早い方向転換の妨げとなっているが、グリップが多大なおかげで、かなりのコーナリング・スピードが保証されている。
パワーとサイズから考えると従順さはかなりのもので、限界域ちかくではわずかながらのアンダーステアが顔を見せはじめる。
もちろんトラクション・コントロールをオフにすると、容易くドリフト・カーに切り替えることも可能だ。何ら問題はない。
コンフォート・モードに戻すと、豪奢なクルーザーへと変身。屋根が開くことで、純粋にゆっくりと走ることを楽しめる。ウインド・ディフレクターを立てた状態だと、風の巻き込みもとても少ない。
ただ、路面状況が悪いと、乗り心地はお世辞にも良いとは言えない。全般的には我慢できるが、グランド・ツアラーとしての資質は問われるレベルにある。
リアビュー・ミラーもバンプを超えるたびにカタカタと揺れる。屋根を切り取ったことによるネジレ剛性の低下も原因しているようだ。
一方のインテリアの質感はかなりすばらしい。レザーとカーボンファイバーの織りなす雰囲気と、新しく採用されたグロス・ブラックのサーフェスの相性も抜群にいいと感じた。