アウディA1 1.0TFSI
公開 : 2015.06.10 23:55 更新 : 2022.12.12 21:30
■どんなクルマ?
2010年のジュネーブで登場し、翌11年から日本で発売となった、アウディのベーシック・コンパクト、A1が、ドイツ車定例の4年目のフェイスリフトを受けた。外観では、よりワイドになった ‘シングルフレームグリル’ と、新デザインの前後ライトが識別点となる。全長が2cm延びたのはバンパーが立体的になり、顔つきが微妙に鋭くなったからだ。
そんなA1後期型の目玉が、アウディ初の3気筒エンジンを搭載する1.0TFSIである。新開発の直噴3気筒DOHCは74.5×76.4mmのほぼスクウェアなボア×ストロークを持ち、インタークーラー付きターボチャージャーを装着することで、最高出力95psを5000-5500rpmで、最大トルク16.3kg-mを1500-3500rpmで得る。1.6ℓ自然吸気並みのトルクを低回転域から発揮しつつ、JC08モードでインゴルシュタット過去最高の22.9km/ℓを達成している。ポロの22.2km/ℓやゴルフの21.0km/ℓを上回り、1.2ℓ3気筒ターボ、6ATのミニ・ワンの19.2km/ℓに対して大差をつけている(あくまでカタログ上の数字の比較ながら)。
このほか、パワー・ステアリングが電動油圧式から電動機械式に改められた。また、従来からの1.4TFSIは140psから150psにパワーアップしている。Sportというグレードも新設された。スポーツ・サスペンション等がプラス16万円で手に入るお得なパッケージである。もっとも、試乗車は、ノーマルの1.0TFSIである。
A1は発売以来50万台が世界中で販売された。日本市場では累計1万7311台に達している。アウディ躍進の立役者である。国内での購入者の平均年齢は50歳、セカンドカー需要がメインで、使用者の男女比は52対48でほぼ半々。もともとミニのマーケットを狙ったもののはずだけれど、実際の競合車種はBMWミニではなくて、身内のVWポロやゴルフであるという(余談ながら、A1の外観の特徴であるボディをほぼ1周するハチマキ・ラインは、オリジナル・ミニと同時代のNSUプリンツを再現しようとしたものだろう)。
アウディ・ジャパンの調査によると、A1の購入理由はエクステリア・デザインで、非購入理由は価格が高いことだった。入門用モデルとして投入された1.0TFSIは、まさにココの改善を狙っている。車両価格を281万円から249万円へと、32万円敷居を低くした。5ドアのスポーツバックは301万円から32万円引きの269万円からに引き下げられている。