マセラティ・ギブリ・ディーゼル
公開 : 2015.06.11 23:40 更新 : 2017.05.29 19:12
ドライブトレインには驚くほどあそびがなく、イタリアの道を駆け上がるときも、高速道路で追い越しをするときも極めて落ち着いている。
高速域に達するとさらに良くなる。パワートレインはひっそりと落ち着き、Aピラーやフレームレス・ドア周辺から生じるウインド・ノイズもほとんど聞こえない。
太いステアリングから伝わる操舵フィールは実にイタリア的。重み、正確性、クイックさは、この手のサイズのクルマのなかでもっとも好ましいといえる。
乗り心地も同様。北イタリアの悪路のうえでもギブリは何事もなかったかのように前に進む。
もちろん柔らかい絨毯のような乗り心地のリムジンとは違うものの、‘スポーティー’ を強調する単に硬い他のモデルとは違うしなやかさがある。
不安定になるのは、酷く壊れた路面や大きな凹みを乗り越えるときのみ。同じ道をクアトロポルテで試した時よりも、ギブリの短いホイールベースが影響して、時にボディが上下方向に細かく揺さぶれるのだ。
ふわふわと柔らかいわけではないのに、良い路面のうえではぴったりと路面に沿うように走れるのはシャシーの柔軟性が高いから。無粋な突き上げを回避しながらも路面状況をきちんと伝えてくれる、理想的な組み合わせである。
マイナス面を敢えて挙げるとすると、特異なインテリアが第一。シートとステアリングのあいだの理想的な位置関係を見つけるまでに時間がかかり、太いステアリング・ホイールのおかげでスピード・メーターが遮られるのも残念。
サウンド・システム用ツイーターを囲むプラスティック素材の安っぽさや、荷室の開口部の小ささも、荷室そのものが大きいだけに改善して欲しいと感じた。