モータースポーツ・アット・ザ・パレス
2015.05.24〜25
ロンドン南西部にかつて存在したクリスタルパレス・サーキットの一角。ノース・タワー・コーナーという名で知られるセクションには、セブノークス&ディストリクト・モータークラブ主催の走行会開催地として740mのコースが開設され、今再びレーシング・エンジンの咆哮が響いている。
現在の方式で開かれるようになって6回目となる2015年大会は、これまでより大規模になり、人気も知名度もますます高まったようだ。公園を所有するブロムリー・ロンドン特別区の協力のもと、アルファ・ロメオ、フィアット、ジープ、ヒュンダイ、日産のフランチャイズを経営するアンカスター・ガレージ・グループがタイトル・スポンサーとなったおかげで、ロンドン近郊で開催されるイベントのなかでも指折りのものに成長した。
ファミリー向けのイベントゆえにパドックには自由に入れ、入場者はマシンを近づいて眺めたり、オーナーと話をすることが許される。また、走行会以外にも関連イベントが多数開催され、老若男女問わず楽しめるのも特徴だ。例えば、”掘削体験場” では若者から年配者まで建設機械を操作することができる。
ほかにも、ロンドン・カーティング・カンパニーによる若年層向け電動カートコース、アリーナ競技場で開催されたクラシックカート・イベント、パドックに並ぶクラシック・バイク、クラシックカーの展示コーナー、物販エリアなどがあり、さらには、は虫類鑑賞センターという興味深い出し物では蛇やトカゲ(!)とも触れ合うことさえできた。
元々のクリスタルパレスにある古いテラスは、モーター・レーシングの生き証人であるだけでなく、観光客向けの展望台にもなっている。そこに生い茂る紫つつじはちょうど満開の時期で、パドックやコース脇を鮮やかに彩っていた。
芝を敷き詰めたパドック・エリアにはあらゆるマシンが並び、そのなかには走行会に参加する’30年代のオースチン・セブンや、ロータス・コルチナやサンビーム・タルボ・ロータスといったクラシック・スポーツ・サルーン、フォード・エスコートなどのラリーカー、それにジャガーXK140、歴代のポルシェ911、フェラーリ308GT4などのスポーツカーが揃い、それを覆うように木々が密生している。
それから1953年型クーパー・ブリストル、1960年型エメリソン・フォーミュラ・ジュニア、1967年型クーパー-ダイムラーのようなシングルシーターから、日産リーフといった現代のEVまで、80年におよぶクリスタルパレルの自動車史において活躍した数々のクルマを目の当たりにすることができた。
この2日間はほぼ途切れることなくレースが行われ、各カテゴリーが1日に3度も走るため、観客を退屈させることはなかった。月曜の最速タイムはD20クラスのデイビッド・シートンが1980年型ピルビームMP43-BMWで記録した33.95秒。ちなみにこれは前日の日曜に出した自身の記録を1秒上回るものだ。その日曜日は、OMSモノポスト駆るケビン・クリーバンが34.92秒で1位。ケビンは月曜にはそのタイムを1秒弱縮めたが、デイビッドの記録には届かなかった。
参考に他車のタイムを記すと、ラリー仕様のフォード・エスコートMk-I RS1600は37.76秒、シェルビーGT350で40秒41、ランサー・エヴォリューションVIは35秒88で、チューニングされたミニは38秒67を記録し、EVのニッサン・リーフは42秒98だった。