マツダ・ロードスターSレザーパッケージ
公開 : 2015.06.11 23:50 更新 : 2017.05.29 19:13
■どんな感じ?
スポーツカーというと、3つのペダルとマニュアルシフトを華麗に操作してコーナリングを楽しむ……と思う人も多いだろう。もちろんそれは重要な要素。しかしオープンエア・モータリングをより多くの人に楽しんでもらいたいという想いから、ロードスターには当初からATが用意されている。初代NA型にATが追加されたのは1990年3月のこと。1989年9月に販売がスタートしたMT車に遅れること半年、以来ずっと、ロードスターにはATモデルがラインナップされている。
改めてNDロードスターを目の前にすると、「小さいなあ」と独り言を口にしてしまう。前述のようにすでに3度目の試乗だし、目新しさという点ではだいぶ薄れつつあるものの、やはり全長3915×全幅1735×全高1235mmという数値が示すボディ・サイズのインパクトは大きい。車幅の関係から3ナンバーとはなるものの、全長にいたっては初代NAロードスターよりもコンパクトなのだ。
ドアノブを開けてシートに潜り込み、AT車ではブレーキを踏みながらスタートボタンを押すと1.5ℓのSKYACTIV-Gユニットが目をさます。スタート時には、MT車と同様に回転数が跳ね上がり「バオン!」というサウンドを聞かせてくれるのだが、これがちょっと恥ずかしい。もちろんスポーツカーであることを意識させる演出で、オーナーの気分を高揚させる効果があるのだろうけども。
シフトパターンは通常のストレートタイプで、Dレンジからセレクト・レバーを右に倒すとマニュアル操作が可能となる。マツダが拘る、レバーを引いてアップ・押してダウンという方式は実際の加速Gと連動していて、じつに小気味がいい。運転そのものに ‘FUN’ を感じるのは、やはりこの方式だと思う。もちろんステアリングに備えられたパドルシフトでも操作は可能だ。
ただしMT車と比べると、やはりスロットルに対するダイレクト感は薄く感じる。スロットルペダルを踏み込んだ量に対してMT車が10加速するとしたら、AT車は8か9くらい。しかもポンポンとすぐにシフトアップしてしまうから、先にMT車に試乗した感覚をカラダが憶えているうちは意図的にキックダウンさせたくて、ついスロットルペダルを踏み増している、という場面が幾度かあった。
……なんだかちょっと物足りないなあ、そう言いかけてシフトレバーの下に備わる ‘ドライブセレクション’ の存在に気付く。このスイッチをSPORTに入れると自動的に低いギアを選択し、より高回転域を使ってスポーツ走行を楽しむことができる。
いっぽうで3ペダルとシフトチェンジから解放されるATならではの快適さは、とくに助手席に人を乗せてオープンドライブを楽しむというシチュエーションで活きてくる。片手で簡単に開けることができるソフトトップを開け放ち、速度域を少し落としてクルージングするとAT車の魅力は俄然増してくる。
もう初夏と言うには眩しすぎる陽射しのなかを走りまわり、小休止のため休憩エリアにピットイン。すると車両が停止するとほぼ同時にエンジンが停止した。AT車にはアイドリングストップ機構の ‘i-stop’ と減速エネルギー回生システム ‘i-ELOOP’ が標準装備され、燃費性能に優れている点も魅力のひとつ。スポーツカーを燃費で選ぶオーナーは少ないだろうが、それでもMT車の17.2km/ℓに対して18.6km/ℓという数字には説得力がある。