これと同じくらいの心地よさを覚えたのは、ランドローバーを走らせた時だ。どのような速度域でもリラックスしており、4WDらしい地面の蹴り方も頼りになる。

アイドル時の静けさ、のんびりとした雰囲気、かといって鈍くないレスポンスのおかげで、オフロードのみならずタウン・スピードでも極めて安楽だ。

ステアリングもロック・トゥ・ロックが3.4回転とかなりスローだが、クルマのキャラクターにぴったりと合っている。エア・スプリングからも乗り味を慎重に吟味されたことがうかがえ、2次的なライドも申し分ない。

影でそっと力を貸してくれるスタビリティ・コントロール、荷重移動のしやすさなど、細かなところであるが、そこを軽視していないところもディスカバリーの長所だ。

BMWは明確に敏捷性をアピールすることを選んだようだ。ロック・トゥ・ロックは3回転。アクセル操作に対するエンジンの反応も明確に機敏だ。ギアボックス然り。

巡航時からグッとアクセル・ペダルを踏み込めば、ディスカバリーはふわりと加速していくのに対し、BMWは即座にギアを落とし、飛び出す。

xDrive 25d Mスポーツであるテスト車両にはアダプティブ・ダンパーがつき、2ステージのキャリブレーションが与えられる。

コンフォート時とスポーツ時の乗り心地は、どちらとも熟慮されていると感じる。しかしステアリングは、どちらのモードでもリニアリティに欠け、満足はできるが、BMWらしくはない。

グリップも強固、回頭性も想像より高い。先読みしやすく安定もしているのに、楽しい気持ちにならないのは何故だろう？ 不思議である。

ボルボの各コントローラーの重みは比較的軽め。ただ演出に過ぎる部分はまるでなく、シャープさを維持しながらも安心感を忘れないようにしているようだ。

事実、足回りは硬め。結構硬い。荷物を載せた状態だとちょうど良くなるのかな……とも思ったが、基本的には不快にならないが硬めだと覚悟しておいたほうがいいだろう。

おそらくエアスプリングが解決してくれるはずだ。

ただ、勘違いをしてほしくないのだが、ここに述べたマイナス面は、あくまで重箱の隅をつつくような見方をしたからこそ見つかったものだ。

全般的なマナーは非常に素晴らしく、多くのライバルを打ちのめすことができるほどの実力をそなえていることは間違いない。

ならば3台中どのモデルが素晴らしいか？ そろそろ結論を出すことにしよう。