スバル・レヴォーグ
公開 : 2015.06.29 23:50 更新 : 2017.05.29 18:41
レヴォーグを作るにあたって、アウディS3や自社のBRZのハンドリングをベンチマークにしたというのも面白い。そして結果も明白に表れている。
短い時間ではあったがストックホルムのハンドリング・サーキットを走らせたところ、ロールは最小限に抑えられているうえ、高いコーナリング・スピードを維持できた。コントロールもとてもしやかった。
重要な乗り心地に関しては、英国に持ち帰ってから結論を出したいが、サーキットでのしなやかな走りを観察するかぎり、悪い結果にはならないだろうと感じた。
反面、ステアリングは少し残念。しっかりとした重みのおかげで頼り甲斐があるのだが、リアルな情報が希薄なのだ。そのせいで高速コーナリング時に、グリップにどれほどの余裕があるのかが推し測りにくいと感じた。
もっともスリリングなのは、アンダーステアになるほんの寸前のこと。決して速度が乗りすぎているわけではないが、ぎりぎりの状態にもかかわらずコントロールしやすいのはクルマ好きにとって嬉しいことだ。
だからこそとも言うべきか、CVTのベルト・ノイズがもう少し抑えられていればと思った。
CVTといえども、実際には、一般的なオートマティック車のようにギアが変わっていくような変速を行う。標準モードである ‘I’ にして、アクセル・ペダルを全体の35%ほど踏むと、トントンとギアが変わっていく感覚が伝わってくる。
これを ‘S’ モードに切り替えると、先ほどの30%ほどの踏力でも先ほどと同じように加速する。要するにアクセルの ‘ツキ’ がよくなるのである。とはいえども、レヴォーグの載せているCVTはお世辞にも優れているとはいいがたい。むしろレヴォーグの輝きをくすませているといってもいいかもしれない。スタアリングに設えられたパドルを使えば、思ったような ‘ギア’ を得ることもできるが、AUTOCARの読者ならば標準のマニュアルを選んだ方がいいだろう。
心臓部となる新しい1.6ℓボクサー・エンジンはとてもなめらかに回る。ただ、‘スバル’ を買う人のなかには、技術的な要素に興味がある人も多いはずだ。それならば、あまりに静かすぎると感じることになるだろう。幸か不幸か、静かすぎるゆえ、残念がられているのである。
ピーク・トルクは1800rpmから湧き出し、4800rpmまで続く。その後4800rpmから6500rpmまで最高出力が発生するという仕立てだ。CO2排出量は、その他のライバルに比べると多め。
しかしパワー/トルクがスバルの2.5ℓ 自然吸気ユニットに比べても引けをとらないという点は、購入の後押しになるのではないだろうか。