アウディQ7 3.0TDI Sライン
公開 : 2015.06.30 23:40 更新 : 2017.05.29 18:14
それだけに、エア・スプリングのもたらすフィールがX5やカイエン、レンジローバー・スポーツよりも凡庸に感じられるのが惜しい。
たしかにボディ・ロールが最小限に抑えられ、スポーツ・モードではポジティブだし、持て余している感じもまるでないのだが、よりスポーティに感じられるライバルほどの歯切れがないのだ。
また、われわれならば£1,100(21万円)の4輪操舵システムをわざわざ選ばないだろう。低速域の最小回転直径が11.4mまで小さくなるのはありがたいが、ステアリング・レスポンスがわずかに一貫性を欠くからだ。
標準のステアリングは十分に優れており、コシやフィードバックの絶対量も申し分ない。
筆者がもっとも感動したのは乗り心地の良さだ。かなりの頻度で生じるアンジュレーションの上での足捌きは見事なものだし、常にどっしりと落ち着いている。お金を払う価値のあるオプションだと思う。
AUTOCARはまだ標準の金属バネを組み合わせたタイプをテストしていないが、こちらの方も、もしかするとかなりいいかもしれない。
エア・サスペンションの、乗り心地につづく第2のメリットとして、最低地上高を稼ぐことができる点が挙げられる。また、最大牽引重量が2800kgから3500kgへと大きくなるのも、あまり知られていない恩恵である。
(ザラついた路面のうえでのロード・ノイズは気になるが)絹のようになめらかなパワートレインと安楽な乗り心地は、Q7の思わずくつろいでしまうようなキャラクターをさらに際立ったものにしているといえるだろう。
このクルマにとって重要なキャビンについても書いておこう。
欲しいものが、あるべきところに存在することが、これほど心地いいものなのだと実感した。もしアウディがホテルをデザインする会社ならば、ワードローブにあるムード・ライトの消し方や、コンセントの位置をわざわざフロントに聞かなくて済むだろうな、とさえ思った。