フォルクスワーゲン・トゥーラン1.6TDI SE
公開 : 2015.06.30 23:30 更新 : 2017.05.29 18:57
質感はシトロエン・グランド・ピカソやヴォグゾール・ザフィーラ・ツアラーよりも一枚うわてであり、ちょうどBMW 2シリーズ・グラン・ツアラーと同じくらいといったところだ。
ダッシュボードやドア・パネルの上部を覆う柔らかいプラスティック・パーツの手触りは実に気持ちがよく、主要なパーツがなめらかなレザーで覆われているのもいい。
組付け精度も高く、これなら毎日のファミリー・ユースにも十分に耐えられると感じた。
7人用のシートがおさまっているにもかかわらず、キャビン・スペースは広くなっている。セアト・アルハンブラなどのフル・サイズMPVに比べると、全長は短く、幅も狭いが、2列目のヘッドルームやレッグ・ルームは窮屈に感じないどころか、アルハンブラの方がわずかに圧迫感さえ感じる。
3列目のシートは ‘大人用’ と呼ぶにはちょっと迷ってしまうが、大きいドアのおかげでアクセスしやすい。リアの合計5席はアイソフィックスに適合済み。つまりチャイルド・シートをシート・ベルト使わずに専用の取付具で固定することができる。
2列目と3列目はそれぞれ独立してスライドと折りたたみができ、3列目のシートは床下におさめることが可能。3列目のシートを立てた状態の窓の下端までの荷室容量は743ℓとなり、フォードS-マックスの数値を上回るに十分だ。
乗り味は快適かつ雑味がなく、速度に依存しない印象。いくぶん中庸で、あまり記憶に残るような楽しさはないが、かなり運転はしやすいと感じた。常に落ち着き払っており、ステアリングにも遊びはなく重みも最適だ。穏やかなグリップにきちんとマッチしており、ウインド・ノイズやロード・ノイズもきちんと抑えられている。
1.6ℓのディーゼル・パワートレインは2.0ℓに比べるともう少し洗練されている欲しいと感じる。やや平凡かつ栄養不良にも感じる。その他のロー・エミッション・ディーゼルにくらべるとレスポンスも鈍く、柔軟性も今ひとつな印象だ。
ただし、市街地を中心にしたテスト・ルートでも簡単に17.7km/ℓを超えられる経済性の良さは、ファミリーMPVにとって明確な強みだといえるだろう。