BMW 5シリーズGTフューエル・セル・コンセプト
公開 : 2015.07.02 23:40 更新 : 2017.05.23 10:25
■どんな感じ?
内外装は単なる5シリーズGTであるが、ボディの内側はまったく異なっている。
まず第一に構造が違う。クラッシュした際の水素タンクの保護が構造変更の主な理由だ。ストラクチャーの各部にタンクはボルト留めされている。
ボンネットの下には燃料電池スタックが収まる。典型的な大型のV8ユニットと同程度のサイズである。
燃料電池スタックのコアな部分はトヨタの技術を使用しており、新型の水素タンクと電気ドライブトレイン、高圧力バッテリーはBMWから供給されている。
低負荷時、水素燃料を駆動力にする際の効率は65%であり、どの内燃機関よりも優れた数値である。これが高負荷時になると45%程度まで落ち込む。典型的なターボ・ディーゼル・エンジンよりもやや優れているといったところだ。念のために補足しておくが、これはかなりの実力であることを意味する。
後輪は新型の2速デュアル・クラッチATを介して、電気モーターから202ps分のパワー供給を受ける。リア・アクスルの上に超小型の1kWhのバッテリーが設置されている。
あたらしいストレージ・タンクはマルチレイヤー(多層)構造を採用。コアな部分はアルミニウム製の圧力容器となり、その周囲をCFRPが覆う様式だ。
周辺のアルミは恐らく5cmほどで、さらにその周囲に放射状のシールドがつく。シールドとアウター・スキン(アルミの鋳物)のあいだには真空の空洞がある。両端につく羽根といい、単体ではノーズのないミサイルのようなルックスだ。
先進的なのは、BMWが新しく開発した燃料補給メソッドだ。‘超低温圧力容器’ と呼ばれるタンクは、-220℃まで冷やされた水素を満たすことができるように設計されている。7.1kgもの水素を内包でき、常温では2.3kg程度の量となる。BMWいわく7.1kgの水素では700kmまで走れるとのこと。補給は5分程度で終わり、現代の水素価格からすると満タンで約£50(9,600円)くらいになるという。