BMW 218dグラン・ツアラーMスポーツ

公開 : 2015.07.09 23:40  更新 : 2022.12.12 21:29

最高出力150psの発生回転は4000rpmと高めで、5000rpmまで滑らかに回る。

最大トルク33.7kg-m/1750-2750rpmという数値は、ディーゼルとしてはむしろ控えめだ。

メルセデスもマツダも2.2ℓと排気量は牛乳瓶1本分多いにしても、40kg-m以上の最大トルクを得ている。

数値は物足りないかもしれないけれど、1640kgのクルマを走らせるのに3ℓ自然吸気並みのトルクは十分で、なおかつアクセル・ペダルをガバッと踏んだときのパワーの出方、回転の積み上がり方にガソリン・エンジンのような感覚、つまり私たちが慣れ親しんだフツウさがある。

低速のトルクの塊、ではないところがよいのだ。

ドライビング・フィールは後輪駆動のBMWそのままだ。メルセデスのFWDとRWDの違いよりもおそらく小さい。

FWDでありながら、トルクステアはほとんどない。前輪駆動感がない。

BMWはBMWであることに、メルセデス以上にこだわっているのだ。

ステアリング・フィールのデキのよさは、新開発の電動パワー・ステアリングの採用によるものらしい。ステアリング系の剛性感もいかにもBMWである。

アンダーステアをほとんど感じさせないのは、‘パフォーマンス・コントロール’ と呼ばれるデバイスのおかげで、コーナリング時にアンダーステアの徴候が出ると、コーナー内側のリア・ホイールに軽くブレーキを作動させると同時にエンジンの駆動トルクを増加させるという。なんともはやである。テクノロジーが前かき、後ろかきという物理というか、人間、少なくとも私個人の感覚を完全に超えた。

乗り心地もすばらしい。全体に引き締まっていて、しなやかでフラットで、ボディの剛性感がきわめて高く、ミニバンなのに荒れた路面でもまったくガタピシしない。

記事に関わった人々

  • 今尾直樹

    Naoki Imao

    1960年岐阜県生まれ。幼少時、ウチにあったダイハツ・ミゼットのキャビンの真ん中、エンジンの上に跨って乗るのが好きだった。通った小学校の校長室には織田信長の肖像画が飾ってあった。信長はカッコいいと思った。小学5年生の秋の社会見学でトヨタの工場に行って、トヨタ車がいっぱい載っている下敷きをもらってうれしかった。工場のなかはガッチャンガッチャン、騒音と金属の匂いに満ちていて、自動車絶望工場だとは思わなかったけれど、たいへんだなぁ、とは思った。

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