ジャガーXE
公開 : 2015.07.10 23:55 更新 : 2017.05.29 18:37
■特徴
“ボディに使用したアルミニウム素材は、全体の75%にのぼる” ― ルイス・キングストン (シニアテスター)
一瞬、XFとの区別がつかない読者もいらっしゃるかもしれない。これはジャガーが意図して行った ‘策略’ である。XFやXJで慣れ親しんだ、伸びやかなラインと意匠を敢えてXEにも反映させたのである。
これに対して、ジャガーは目に見えない部分には大胆な改良を施した。
なかでも代表的なのは、iQプラットフォームと呼ばれる、次期XFやレンジローバー・イヴォークが使用するモジュラー・アーキテクチャーを使用した点だ。
XEとアルミニウムは切っても切れない関係であり、XEにおいてはボディ全体のうち75%がアルミニウムとなっている。それ以外は主に高強度鋼を採用、主にドアやトランク・リッド、リア・アンダーボディ、Bピラーに使用されている。
合金鋼をプラットフォームに使用するゆえ、ライバルの使用するものに比べると、単体の重量は軽くなっている。しかし全体の重量はさにあらず。この車格としては一般的なマルチリンク式を選ばず、フロントにダブル・ウィッシュボーンを、リアにインテグラル・リンクを選択したことが、その理由である。
しかしながら、エンジニアはこのことを後悔していない様子。というのも、このサスペンション・セットアップを敢えて選んだことによって、後輪は望まない方向からの力を受ける確率が低まっただけでなく、安定性とアジリティの向上が同時に実現したからだ。
電子アシスト・ステアリングも、これらのセットアップに合わせた調整がなされている。F-タイプの操舵フィールを意識したとのことだ。
エンジンのラインナップのうち、340psを発揮するスーパーチャージド3.0ℓ V6エンジンはF-タイプとシェアしている。その他のエンジンは、既存のものと新開発のものがある。
XEのエンジンを語るうえでは、コンパクトで軽く、ガスの排出量が少ないガソリン/ディーゼル・ユニットのことを差す ‘インジニウム’ という言葉が外せない。各シリンダーごとの容量、ボア/ストローク、ブロックはガソリン/ディーゼルともに共通にすることで、ダウンサイズもアップサイズも容易になるのだ。
出力が小さい方のディーゼル・ユニットは6速マニュアル・ギアボックスのみの組み合わせとなり、163psと38.7kg-mを発揮、燃料消費率は26.3km/ℓ、CO2排出量は99g/kmとなる(公表値)。
181psと43.8kg-mを発揮するユニットの燃費も23.8km/ℓとまずまずの数値であり、CO2排出量は109g/kmとなる。オプションの8速オートマティックを選ぶと、各々の数値はわずかずつ劣ってくるが、それでもクラスを牽引するレベルにあることは間違いない。
日本とは反対に英国では、4気筒ガソリン・ユニットの追加を2016年まで待たなければならないが、どちらにしてもディーゼル・ユニットは全体の売上を占めることは間違いなさそうだ。
ガソリン・ユニットの追加直後に使用されるのは、2.0ℓターボ・ガソリンになる予定であり、こちらはXFとXJでもすでにお馴染みのものだ。フォード・ソースのこのユニットはスペインはヴァレンシアで組み立てられる点も同じであるが、200psと239psを発揮できるよう専用の仕立てが施されている。こちらはZF製の8速ATのみとの組み合わせとなる。