ジャガーXE
公開 : 2015.07.10 23:55 更新 : 2017.05.29 18:37
■パフォーマンス
“高速道路の速い流れに取り残されることはなく、追い越しも容易。運転する楽しさも確保されている” ― マット・プライヤー (ロードテストエディター)
ジャガー・ランドローバーは、パワートレインの独自開発を推し進めることによって、エンジン・パフォーマンスの向上だけでなく、コントロール特性をも高めことに成功した。
テスト車は、フォードから供給されるガソリン・ユニットを組み合わせていた。われわれが高く評価するフォードのモデルと共通のものだ。
全般的には静かであるが、アクセルを踏めば、聞き心地のよい軽やかなサウンドを奏でる。求めれば求めるだけのパワーを与えてくれるのも特徴だ。
ただ額面上のCO2排出量と燃料消費率は、このユニットの得意とするところではない。だからこそジャガーは、独自に開発したエンジンの導入を急いでいるのだ。
スターター・ボタンを押し込むと、静かにアイドリング態勢に切り替わる。年代を感じさせない、若々しいエンジンだと感じる。ZF製の8速オートマティックのマナーもなめらか。変速のタイミングにも不満はなく、エンジンとの相性も良い。比較的速い速度域もリラックスして走らせられる。
燃費を優先するため、次々とギアを上げていく傾向はある反面、追い越しなどの素早い加速を要する際のダウン・シフトはあまり速い類ではない。左側のパドルを引いたほうが、やきもきせずに済む。
0-100km/hタイムは7.6秒をマーク。これはアウディA4 2.0 TFSIやBMW 320iよりもわずかに遅いのだが、現実的にはさほど問題にならないと感じた。高速道路の速い流れに取り残されることはなく、追い越しも容易。7000rpmから始まるレッドゾーンに向けて、回転に引っかかりはなく、5500rpmにピーク・パワーが訪れるのもしっかりと実感できる。
高速道路の巡航では、気を使えば17.7km/ℓをマークでき、流れに合わせても14.2km/ℓは超えられる。激しいドライビングを含むテスト・ルートの平均燃費は10.6km/ℓを記録した。
今回は240psを発揮する2.0ℓのターボ・ガソリン版もテストした。こちらは2000rpm以下からグッと押し出すように加速でき、高速巡航時にも引っかかりはなく、かつ極めて静かだ。ジャガーいわく、ディーゼルを差し置いて、こちらのユニットを選ぶカスタマーも多いとのこと。いずれにしても、ガソリン・ユニットのもたらす伸びやかな回転感と静粛性は、やはり見過ごせないのだ。
ジャガーはX-タイプでの失敗を機に、フォードとの関係を隠したいようだが、これほど優れたエンジンなのだから、そんな心配は無用であると断言できる。