少なくとも、切れ味抜群のスロットル・レスポンスなどという表現は、このクルマには似つかわしくない。

試しにトラクション・コントロールをオフにした場合はどうなるかを試したところ、荒っぽいアクセル操作だと、タイヤが擦り切れるまで空転しつづけるのではないかと思えるほどスピンしていた。一応報告しておく。

高速道路を走らせると、地平線まで簡単にたどり着けるのではないかと思える速さを味わえる。巡航？ なんのその。追い越し？ 苦しゅうない。ただしその際の燃費はせいぜい5km/ℓ。まぁ、そういったクルマなのである。

インテリアも負けていない。標準のシートは、世界屈指の快適性といっても言いすぎではないし、調整幅も殊のほか大きい。温めてくれるし冷やしてもくれる。肩周辺のマッサージさえやってくれる。

12.3インチという2枚の大型スクリーンはダッシュボード上に隣どうしに設置されている。片方がメーター、片方がインフォテイメント・システムだ。表示は美しく、歯切れよく動作する。メニューは他のシステムほど直感的でないにしても、シートの間にあるロータリー・ダイアルから簡単に操作できるのもいい。

後席の足元も、前席次第では十分なスペースが確保できる。ただ、前席のパッセンジャーが180cmを超える場合は要注意。旅は不快になるだろう。

荷室容量は400ℓクラス。まずまずの大きさだ。クーペの伸びやかなラインを利して、トランクにアクセスしやすいのもいい。

きっとどんな富豪でも£183,075(3,527万円)を支払うには勇気がいるはずであるが、20インチのアロイ・ホイールや専用バンパー、AMGスポーツ・エグゾースト、スワロフスキー・クリスタル付きLEDヘッドライト、革張りの内装、アップグレードしたブルメスター製サウンド・システムに大いなる期待を抱くのだろうなと感じた。