ボルボS60 D4 R-デザイン

公開 : 2015.07.23 23:50  更新 : 2022.12.12 21:29

  • D4エンジンの日本導入は5車種。S60以外にも、V40、V40CC、V60、XC60に搭載される。

■どんな感じ?

夏の軽井沢のホテルの駐車場にズラリと並んだV40とS/V/XC60の中からAUTOCAR編集員が選んだのがS60 D4 R-デザインだった。

フツウはV40かV60、あるいはXC60を選ぶところだろうけれど、あえてセダンの、それも235/40ZR18のミシュラン・パイロット・スポーツ3という高性能タイヤを履くスポーティ仕様をチョイスしたところがエライ。

だって、ディーゼルだぜ。ディーゼルというのは圧倒的な低速トルクが特徴で、高回転を許さず、振動がデカくてスポーティヴネスとは無……というのは過去の話である。

わかっちゃいるけど、ついそういう先入観が先走る。彼のチョイスは正しかった。これほど軽快なディーゼル・エンジンを、年産40万台の小さなメーカーがつくってみせるとは! 

なにしろ先日に乗ったバイエルン製の2ℓディーゼルより明らかに力強い。低速トルクの出方に惜しげがない。1500から3000rpmまでの間でグワッと盛り上がる。低いギアでアクセルを踏み込むと、首がもっていかれる。それでいて、5000rpm近くまでのびやかに回る。しかも、前日の2シリーズとは車格が違うにせよ、静かでもある。

ただし、回転の積み上げに伴ってパワーを絞り出し、シンフォニーを奏で出すガソリン・エンジンの高揚はない。これこそディーゼルの特質なのだ。種類が違う。静かに始まって後半に盛り上がるのではなくて、いきなりガンとクライマックスが来る。ジャジャジャーン! ベートーベンの‘運命’のように、あとは流す感じ。だから、ドライバーはクールでいられる。コーナリング中もどこか冷静に観察しながら走ることができ、知的ゲーム感覚がある。

記事に関わった人々

  • 今尾直樹

    Naoki Imao

    1960年岐阜県生まれ。幼少時、ウチにあったダイハツ・ミゼットのキャビンの真ん中、エンジンの上に跨って乗るのが好きだった。通った小学校の校長室には織田信長の肖像画が飾ってあった。信長はカッコいいと思った。小学5年生の秋の社会見学でトヨタの工場に行って、トヨタ車がいっぱい載っている下敷きをもらってうれしかった。工場のなかはガッチャンガッチャン、騒音と金属の匂いに満ちていて、自動車絶望工場だとは思わなかったけれど、たいへんだなぁ、とは思った。

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